入院と手術を経て境界悪性腫瘍であることがわかった、ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(65歳)。今思えば、昨年「卵巣が12cmに腫れている」と医師に診断されるまで、体には多くの“異変”があったという。オバ記者が綴る。
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大病での手術を経て痩せた?
「卵巣の病気で大手術したんだよね」
最近、久しぶりに会う人、会う人が同じこと言うのは、私の記事を読んでくれていてくれるからで、それはとてもありがたいんだけど、そのあとが微妙なんだよねえ。
「やっぱり痩せた、よね?」と言いながら視線が足元から上がっていくの。その目は「手術しても痩せないんだ?」と言いたげ、と思うのは私のひがみかしら。
実際のところ体重は手術前と変化なしで、“高値安定”のままなんだけど、かといって何も変わらないかというとそんなことはなくてね。まず手術前は“ビア樽”のようだったお腹が、術後3か月くらいからウエストができたのよ。それから前はお腹の中央をタテに走る傷口がピンピンに突っ張っていて、ちょっとした瞬間に痛みが走ったけどそれが手術から約半年たった今はほとんどない。
さらに夜はよく眠れるし、リンパマッサージとタイ古式マッサージのダブルで通わないとどうにもならなかった手術後の全身のこわばりも、日を追うごとにいい感じ。ここ1か月は区営のスポーツセンターのヨガ教室に通い出したら、ますます快調でね。言ってしまえば手術前よりずっと調子がいいの。
気づいたきっかけはお腹がドーンと出っ張ってきたこと
そうなってからよね。去年の夏、区の健康診断で「卵巣が12cmに腫れています」と診断されるまで自分がいかに不調だったか、よくわかるようになったんだわ。というのも、不調は急に不調になるわけではないから、かなりハッキリしたことがないと自分では気づかないんだよね。ハッキリした変化とは私の場合はお腹が急激に膨らんだこと。
最初は横に寝ているときに「私のお腹はこのくらい」と思っていたのより、ちょっと太いかしらと思ったのが始まりだったの。そのときは「太ったかな」と思ったんだけど、そのうち“太った”、では済ませられないくらい前にドーンと出っ張ってきたんだわ。寝て感じた違和感は、鏡の前でも感じるようになって、いよいよこれはただごとではないなと思ったわけよ。
YouTubeを見ると「急激なお腹のふくらみ」は卵巣がんの可能性が疑われると、婦人科の医師は口々に言うし、私がかかった大学病院の担当医も、この症状を訴えると顔色が変わったから、医学的に見過ごせない状況だったんだね。