「冷蔵庫を開けたけど、何を取ろうとしたのか思い出せない」「待ち合わせの場所を勘違いして恥をかいてしまった」といった物忘れは、更年期特有の問題が原因の場合もあります。そこで、漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんに、物忘れと更年期の関係や食事を含めた対処法、効果的な漢方薬について教えてもらいました。
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「物忘れ」と認知症の違い
持ち物を忘れる、人の名前を忘れる、約束を忘れるなど、ちょっとしたことが思い出せないのが物忘れです。また、体験の一部を忘れることがありますが、忘れたという自覚があり、行動上の問題になったり、生活に支障が出たりしていない場合は物忘れですが、忘れたことの自覚がなく、生活に支障をきたすほどであれば、認知症の可能性も考えられます。
40〜50代に増え始める物忘れの原因
物忘れは加齢の影響により脳の機能が低下することが原因なので、誰にでも起こり得ます。加えて、更年期は女性ホルモンの分泌のバランスが変化し、神経が興奮し精神不調になりやすく、これも脳の機能低下の原因となります。
また、40〜50代といえば子供の教育や親の介護、職場でのプレッシャーなど、ストレスを受ける機会が多くなる時期です。多すぎるストレスが負担となり、一時的に脳の機能が落ちて物忘れが増える場合もあります。
物忘れ予防には質のよい睡眠
脳は休養をとることで機能が回復するようにできています。ただし、ある程度の睡眠時間を確保していても、目覚めがスッキリしなかったり、日中に眠気を感じたりするような質の悪い睡眠では、脳機能の十分な回復は期待できません。
好きな香りを枕元に置くなど、リラックスした状態で就寝する、日中を活動的に過ごして適度に肉体が疲れることで入眠をスムーズにするなど適度な、睡眠の質を高めるよう意識しましょう。
物忘れが気になる人におすすめの食材&栄養素
物忘れが気になる人には、抗酸化作用があり、ストレスなどのダメージから脳細胞を守る効果が期待できるケルセチン、血液をサラサラにする働きがあり、速やかに脳へ栄養を届け、健やかに保つようサポートをしてくれるアリシンを多く含む、玉ねぎがおすすめです。
3~4月は新玉ねぎの旬。新玉ねぎは甘味が強いので、スライスして水にさらさずに食べることができるので、栄養をそのまま摂ることができます。また、肉や魚と合わせて南蛮漬けにするのもおすすめです。水分が多く火が入りやすいので、丸ごとスープで煮込んだり、オーブンで焼いたり、厚めの輪切りにしてステーキにしてもおいしく食べられます。
また、体内の変化や外部のストレスに負けない強い脳を保つには、脳のエネルギー源である炭水化物も欠かせません。体重や血糖値を気にして過度な炭水化物抜きの食事をしていると、脳の機能が低下し、物忘れを加速させてしまう懸念もあるので、主食も適度に食べるようにしましょう。