健康・医療

「歯ブラシだけ」は日本人だけ?歯科医がすすめる“世界基準のオーラルケア”は「複数のアイテム」が基本

「タフトブラシ」の使い方

「タフトブラシとは、ブラシ部分が大人の小指より小さいピンポイントの歯ブラシのことです。先端がドーム形の毛先のものは、歯の間も磨けますし、よく磨き残しやすい歯と歯ぐきの境目を効果的に掃除することができます」

歯ぐきの境目に力を入れずにあてると、毛先が扇のように広がり、歯と歯ぐきの境目のラインにぴたりとカーブが合うので、意識しなくてもプラークを落とすことができるといいます。

ピンポイントで使うタフトブラシ(Ph/photoAC)
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「フッ素」使いのコツ

さまざまなグッズがあるなか、最も効果的で科学的なむし歯予防は「フッ素」の利用です。

「『フッ素は歯に塗る薬』のため、歯磨きペーストやジェルに含まれるフッ素を口の中に長い時間残すことが大切です。歯磨きの後に『口を休ませる』ことがポイントなのです」

1日2回の歯磨きのうち1回は就寝前がよいとされるのは、口を休ませる時間が長く、フッ素を効かせたい・唾液が減る時間帯に細菌を増やしたくない、という理由があるからです。

オーラルケア1日の流れ

生澤さんが想定する、標準的な1日のオーラルケアの流れは次のとおりです。

「起床後は舌ブラシを使いましょう。週に3回程度、朝できなければ夜でも大丈夫です。

朝食後は、高濃度フッ素入り歯磨き粉・普通の歯ブラシを使って歯磨きを。うがいはしないか、1回までにしてください。歯磨き後は少なくとも1時間は飲食しないでおきましょう。その後は水かお茶などで済ませてください。

昼食後は、朝食後と同じオーラルケアを。3時のおやつまで、水かお茶で我慢が必要です。おやつをとったら、できれば歯磨きを。水でゆすぐのは必須です」

就寝前はねんいり(Ph/photoAC)
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就寝前を念入りに

就寝前のオーラルケアはさらに念入りに行います。

「染め出し液で磨くべきところを『見える化』してから磨いてみてください。その後、フロスや歯間ブラシで歯の間を掃除します。何もつけずにタフトブラシで1本ずつ磨いていきましょう。一度うがいをした後、染め出し液が残っていないか確認します。残っていたら再度磨いてうがいをします。

最後に、普通の歯ブラシに2センチほどフッ素ジェルをつけ、上下の歯の表・裏・かむ面に塗ります。その際、うがいはせずに吐き出してください。そのまま飲食はせずに就寝です」

ポイントは、フッ素は塗る薬なので口の中に残すこと、夜に重点的に口の環境をリセットすることだそうです。

生澤さんのすすめる世界基準のオーラルケアを実践し、「歯と口を整えるアンチエイジング」にぜひ取り組んでみましょう。

◆教えてくれたのは:歯科医師、歯学博士・生澤右子さん

歯科医師・歯学博士の生澤右子さん
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株式会社Dental Defense 代表取締役、明海大学歯学部客員講師、日本歯科麻酔学会認定医、日本口臭学会・米国歯内療法学会所属。こどもはいしゃアカデミー主宰。東京医科歯科大学歯学部・同大学院博士課程卒業。ペンシルバニア大学歯学部マイクロサージェリーコース修了。フリーランス歯科医として複数のクリニックで診療を行う。講座、セミナー、商品開発などを通じて世界標準のオーラルケアを発信。2023年2月、『歯と口を整えるアンチエイジング』(ビジネス社)を出版。

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