「血糖値」のことを考えると食べ過ぎは禁物というのが暗黙のルール。でもガッツリごはんを食べたくなることもしばしばあるはず。そこで、万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を上梓した医師の板倉弘重さんに、血糖値の上昇を抑えつつガッツリ食べられる食事術を教えてもらいました。
パンやご飯をしっかり食べたいなら昼食に
日本では昼食よりも夕食を中心にしっかり食べるというライフスタイルが定着していますが、欧米では昼食に時間をかけ、夕食は軽く済ます人も少なくありません。血糖値をコントロールするという観点でいうとどちらがおすすめなのでしょうか。
「どちらかというと欧米型のライフスタイルのほうが正しいと言えるでしょう。帰宅してお腹いっぱい夕食を摂ると、血糖値が高いまま就寝することになってしまいます。一方で、昼食をしっかりと食べても、午後に買い物に出かけたり仕事をしたりとある程度運動すれば、血糖値を下げることができるのです。
ご飯、パン、麺類など炭水化物系の主食をしっかりと摂るなら、食後に運動して血糖値を下げることのできる可能性の高い昼食がおすすめです」(板倉さん・以下同)
糖質コントロールを徹底したいなら「魚定食」がおすすめ
さらに、よりメタボ対策や血糖値コントロールをしたいなら、どういった内容の昼食がいいのでしょうか。
「血糖値を下げたり、メタボを解消したりするには、運動も大事ですが、やはり食事コントロールが効果的。ファミリーレストランや定食屋で食事をする場合には、焼き魚定食やお刺身定食など、魚中心の定食メニューにするのがおすすめです。なぜなら、魚、特に青魚には、血液中のコレステロールや中性脂肪を減少させ、血液の循環をよくする効果があり、動脈硬化や心臓病、がんの予防につながるとされる、不飽和脂肪酸(DHA、EPA)が含まれているからです」
“冷やし炭水化物“で血糖値の上昇が緩やかに
糖質(炭水化物)は、メタボや生活習慣病をもたらすものとして、すっかり悪者のイメージが定着していますが、炭水化物の摂取を大幅に減らすことにもリスクがあると板倉さんは言います。
「炭水化物の摂取を大幅に減らすと、動脈硬化のリスクが高まり、心臓病による死亡率が50%近くアップすると言われています。そして、炭水化物には食物繊維も多く含まれていて、お米は、私たちが摂取している食物繊維量の10%を占めています。そのため糖質を極端に減らすのではなく、正しく摂取することが大切です。
炭水化物を冷まして食べると『レジスタントスターチ』という食物繊維を摂取することができます。レジスタントスターチとは、消化されずに大腸まで行き着くでんぷんのことで、腸内で善玉菌のエサになって腸内環境を整え、便秘や下痢などを改善します。また、内臓脂肪を燃やして、糖の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑える効果があります」
「冷やしメニュー」にすればご飯やパスタもヘルシーに
では、どのようなものから、またどのような食べ方でレジスタントスターチを摂取すればいいのでしょうか。
「レジスタントスターチは、穀類やいも類、豆類などに含まれていますが、ご飯やパスタなども“冷やしメニュー“にすれば、効率よく摂ることができます。例えば、炊いたご飯は常温で1時間ほど冷まし、パスタも冷製パスタにして食べるのがおすすめです」
じゃがいもは「サラダ」で、そばやうどんは冷やしメニューを注文
外食をする際に、レジスタントスターチを意識するのであれば、どのようなメニューを選べばいいのでしょうか。
「じゃがいもはポテトサラダ、さつまいもは焼き芋を冷ましてから食べましょう。外食であればうどんやそばは冷たいざるそば・うどんなどを注文するといいですね。家で食べるのであれば、うどんやそばは硬めにゆでて、冷たいメニューにして食べましょう」
◆教えてくれたのは:医師:板倉弘重さん
医学博士。現在、同研究所名誉所員、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、茨城キリスト教大学教授、品川イーストワンメディカルクリニック院長を兼任。万病のもとである「活性酸素」研究の第一人者で、赤ワインやココアなどの抗酸化作用を明らかにしたことでも有名。2022年9月、『「血糖値がどんどん下がる」にいいこと超大全』(宝島社)を出版。