健康・医療

春に冷え症になる理由とは?「決まった時間の朝食」など4つの対策

ヒーターにあたる女性
春の冷え症の原因と対策をドクターハッシーがアドバイス!(Ph/photoAC)
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日照時間が長くなり、暖かな春がやってきました。冬が終わったのに「冷え症」が解消していない場合は、この季節特有の冷えから抜け出せていないのかもしれません――。春の冷え性の原因と対策を、登録者数60万人を超えるYouTubeチャンネルで人気のドクターハッシーこと内科医の橋本将吉さんに解説してもらいました。

春に「冷え症」になってしまう理由

指先が冷えるだけではなく、むくみや生理不順まで起こす「冷え症」は厄介なものです。この冷え症はそもそも、男性よりも女性が多いといいます。

「冷え症とは、多くの人が寒さを感じない温度でも冷えを感じてつらい症状のことで、医学的にはそのような病名はありません。なぜ女性は冷え症になりやすいのか。ひとつには男性よりも筋肉量が少ないことが挙げられます。熱を生産する筋肉が少ないと、体温や基礎代謝が下がりやすくなります。

ジョギングイメージ
女性は男性より筋肉量が少ないので冷え症が多い(Ph/photoAC)
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女性は男性に比べて脂肪がつきやすくなっています。脂肪が多いほど、体は温まりにくいのです。また、更年期になると女性ホルモンが減少することで、体温や血管の収縮・拡張を調節しづらくなり、冷えの症状が悪化することもあります」(橋本さん・以下同)

薄手の服、寒暖差、新生活も要因に

ただでさえ女性は冷えやすい体なのに、春には冷えやすい要因がいくつもあります。

「寒い冬の間は部屋にこもって運動不足になりがちです。すると筋肉が落ち、ますます冷えやすい体になっている可能性があります。それにも関わらず、春らしい装いをするために寒いのを我慢して薄手の服を着てしまうと、さらに体を冷やしてしまいます」

洋服
冬の運動不足と春の薄着が体を冷やす(Ph/photoAC)
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春は、昼間は暖かくても夜は冷え込みます。その寒暖差も「冷え」の原因です。

「体中の血管に走っている自律神経は、脳の視床下部の指令に従って体温調整をしています。ところが、寒暖差により自律神経が乱れると、うまく体温調整できなくなることがあります。また、春は新しい生活が始まる季節でもあり、慣れない不規則な生活も自律神経のバランスを崩します」

4つの冷え改善策

冷えの改善方法として、橋本さんは即効性のある4つの対策を提案します。特に、朝食をとることは重要だと指摘します。

「自律神経は、昼間に活発になる交感神経と、リラックスしているときに活発になる副交感神経の2種類があります。朝は副交感神経から交感神経に切り替わるタイミングで、毎日決まった時間に朝食をとることで体内リズムが整い、自律神経のバランスが保てます。

さらに、食事をすると体が温まります。食べ物を消化するプロセスで内臓が動いたり、胃酸などが化学反応を起こしたりするときに熱が発生します。この際に、体の温まる食材を選ぶと、エンジンがかかったよい状態で朝のスタートを切ることができます」

朝食イメージ
朝食を摂ることは自律神経が整う、体が温まるなどいいことずくめ(Ph/photoAC)
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麦茶、コーヒーは冷える原因に

橋本さんは体を温める食材として、にんじん、かぼちゃなど土の中で熱を蓄える根菜類や、東洋医学の「五性」で体を温めるとされる食材の鶏肉、鮭、にんにく、シナモンなどを挙げています。反対に、麦茶、コーヒーなどの利尿作用があるものは体を冷やします。

「冷え対策には運動も大切です。スクワットや腹筋、背筋などの筋肉量を増やす筋力トレーニングは室内でもできるので、手軽で効果的です。夜は毛布を四つ折りにしてお腹に巻くと血流が良くなり、体がポカポカします。

運動イメージ
筋力をアップさせて基礎代謝を上げていこう(Ph/photoAC)
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4つ目の方法は、腹式呼吸です。息を鼻から少し吸い、吸った息をすぼめた口から深く吐きます。これを5回繰り返すだけ。たったこれだけで、冷たかった手足の指先がじんわりと温まってきます」

寒くて眠れないという人は、寝る前に腹式呼吸を行うことで、快眠に導いてくれそうです。

◆教えてくれたのは:内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん

内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん
内科医 ・橋本将吉(ドクターハッシー)さん
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東京都出身。高齢者向けの訪問診療『東京むさしのクリニック』院長。2011年に「医学教育という専門領域から、日本と世界の明るい未来を創造する」という理念の元、リーフェホールディングス(旧リーフェ)を設立。医学生向けの個別指導塾『医学生道場 』(https://igakuseidojo.com/)の運営や、YouTuber『ドクターハッシー(内科医 橋本将吉)』として健康情報の発信。2022年9月に健康や医学を医師から学ぶ事のできるサービス『ヘルスケアアカデミー』 (https://healthcare-academy.co.jp/)をリリース。2か月で300人を突破。

取材・文/小山内麗香

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