
緑茶や抹茶などがダイエットに効果的であることをご存知ですか? 今回は私たち日本人にとても身近なお茶を飲むことがどうしてダイエットにつながるのか? 体重78kgから1年間で24kgのダイエットに成功、その後、トータルダイエットカウンセラーとして活動し現在ヘルスフードサイエンス研究家として活動中の大西ひとみさんに教えてもらいます。

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カフェインとカテキンの組み合わせで相乗効果
緑茶、抹茶などがダイエットに効果的なのは、カフェインとカテキンの両方が多く含まれているから。
カフェインを摂取すると、血中のアドレナリンとノルアドレナリンというホルモンの濃度が高くなります。アドレナリン、ノルアドレナリンはいずれも副腎髄質から分泌されるホルモンでノルアドレナリンには脂肪組織で脂肪分解作用を促進させる働きがあります。
カテキンは緑茶ポリフェノールの中に含まれる主要成分で、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの4つに大きく分けることができます。

その中で抗酸化作用が最も強く主要な成分であるエピガロカテキンガレートは脂肪分解作用のあるノルアドレナリンが体内で分解されるのを阻止する作用があるため、脂肪分解効果をより長く持続できるのです。
つまり、カフェインによってノルアドレナリンを多く分泌し、エピガロカテキンガレートによってアドレナリンの効果を持続してくれるという相乗効果を生むことから、緑茶や抹茶はダイエットに効果的といえるのです。
肝臓が毒素を排出する効果をアップ
それだけではありません。緑茶や抹茶などに含まれる緑茶ポリフェノールは、肝臓が毒素を排出する効果を高める作用があります。肝臓の毒素が排出されやすくなると、より脂肪が燃焼されますので、普段からよくお酒を飲む人はお茶を飲む機会を増やすことで痩せやすい体作りができるかもしれません。
テアニンの働きで食欲を抑えられる
それに加え、ダイエットのカギを握るのが、緑茶、抹茶に多く含まれるL-テアニン(以下テアニン)というアミノ酸の一種です。テアニンは摂取することによって睡眠の質向上などリラックス効果が期待される成分です。神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの濃度を変化させ両者のバランスを保つ働きをすることもわかっています。

ドーパミンは快楽を感じたときなどに分泌されるホルモン。ドーパミンが分泌されると集中力がアップしたり、ポジティブな気持ちになったりしますが、その働きが強いと食欲などが抑えられないことも。そこで、テアニンの働きにより、精神の安定化に役立つセロトニンが分泌されることで食欲を抑え、ダイエットにつながるというわけです。
更年期障害の症状改善にも期待
ちなみに、セロトニンは更年期障害の症状改善にも役立つことがあることが近年わかってきています。女性ホルモンの分泌が減少するとセロトニンの分泌も減少し精神的に不安定になりやすくなります。そんなときに、セロトニンの分泌を促し、リラックス効果をもたらすのがテアニンです。ダイエットのためだけでなく、更年期の症状が出ているかたも積極的に摂取したいですね。
どんなお茶を飲むと効果的にテアニンを摂取できる?
テアニンはお茶の収穫時期や育てられ方の違いによってその含有量が変わります。テアニンは、最初にお茶の木の根の部分でつくられ、後に葉に移動します。その葉が日光を浴びることによってテアニンはカテキンへと変化するのです。

テアニンはほぼ全ての茶葉に含まれていますが、日光を遮りながら日陰で育てられる玉露やかぶせ茶、碾茶(てんちゃ)の場合は、カテキンへの生成が抑えられることから茶葉中にテアニンを豊富に含んでいます。
テアニンは二番茶よりも一番茶に多く含まれ、一番茶の中でも特に新芽に含まれる量が多いため、高級なお茶により多く含まれているケースが多く、抹茶に関しては番茶の12倍も含まれているそうです。
普段何げなく飲んでいるお茶ですが、どんな種類のお茶を飲むのかを意識することで、テアニンをより効果的に摂取することができるのです。
お茶がどうしても苦手な人は成分をサプリメントで摂取する方法もアリ。また、甘いものを食べるときも、普通のショートケーキよりも抹茶が入っているお菓子のほうが同じカロリーであればいいかもしれません。ぜひお茶の効果を活用してみてくださいね。
◆教えてくれたのは:ヘルスフードサイエンス研究家・大西ひとみさん

9年間、米ロサンゼルスでパーソナルトレーナーとして活動後帰国。トータルダイエットカウンセラーとして7冊の本を出版、ダイエット商品・食品の商品開発の監修などをはじめさまざまなメディアで活動。2017年に自身のギルトフリースイーツブランド「h+diet(エイチプラスダイエット)」(https://h-plusdiet.com/)を立ち上げ、現在は東京・武蔵小山で『h+diet laboratory』をオープン。野菜を使い、甘味料・人工甘味料不使用、グルテンフリーの「栄養学から考えるオーガニックスイーツ」を販売、他社の商品監修などに携わるなどヘルスフードサイエンス研究家としても活動。
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