「男性更年期は症状を放置すると、生活習慣病の発症リスクを高める恐れがあります」と話すのは、漢方薬にも詳しい管理栄養士の小原水月さんです。そこで、小原さんに男性更年期の主な症状や、症状の緩和におすすめの食材と漢方薬について教えてもらいました。
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男性更年期の症状や原因
女性更年期は閉経期前後の約10年間を指しますが、男性更年期には明確な基準がありません。そのため、はじまりも終わりも自覚しにくいのが特徴ですが、40代以降はどの年代でも更年期症状があらわれる可能性があります。
男性更年期についてはまだ十分に解明されていませんが、加齢による男性ホルモンの減少が原因と考えられています。男性ホルモンの分泌量は20歳ごろからゆるやかに減少していきますが、その度合いや時期は個人差が大きいです。加齢の他に、睡眠や運動の不足、乱れた食生活、環境の変化やストレス過多も男性ホルモンの分泌量を減少させる原因となります。
男性更年期の症状
症状としては、身体症状(異常な発汗、ほてり、めまい、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節痛、疲れやすさ、動悸など)、精神症状(イライラ、元気がない、不安、楽しくない、集中力の低下、物忘れ、不眠など)、そして性機能症状(ED〈勃起障害〉、性欲低下など)が現れます。
一般的な不調と見分けが付きづらいかもしれませんが、生活習慣を整えたりしても症状がよくならなかったり、一緒にいるのが苦痛になるような性格の変化を感じた場合は専門医を受診することをおすすめします。
指示ではなく「お願い」がコツ
本人は男性更年期を自覚していないケースもあるので、パートナーが行動しやすいように背中を押してあげるのがよいでしょう。
受診を促すときは、指示するのではなく「私が心配だから病院に行ってくれない?」と、お願いする形のほうが、パートナーがスムーズに行動してくれる可能性が高まります。
更年期の夫に妻ができること
パートナーの不調に気がつくと心配になるでしょう。しかし、協力や助けを求められる前にアドバイスや手助けをすると、命令されているように感じる人もいます。逆に、見守ることで「自分に興味がない」と勘違いをして落ち込む人もいます。相手の性格を考慮し、協力的な関係を築きつつ、問題解決の方法を探るようにしましょう。
まずは、男性も女性と同様に年齢を重ねると更年期による不調があらわれることを理解しましょう。つぎに、男性更年期にはどのような症状があらわれるのか理解しておくことも大切です。
症状を理解しておけば、急にイライラしはじめたパートナーに対して、感情的にならず冷静に対処することもできます。また、正しい対処方法を知ることで、自己判断で対処を遅らせたり、「もっと頑張って」とプレッシャーをかけたりして、症状を悪化させてしまうことを防げます。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は「○○して」のように指示をすると抵抗感を持たれやすいので、「一緒に○○しよう」と誘ってみてはいかがでしょうか。運動不足の解消のために散歩をする、入眠をスムーズにするために就寝前にストレッチをするなどを一緒にしてみてください。
生活習慣の改善には本人の意欲が一番大切ですが、行動しやすいようにまわりがサポートをしてあげることも必要です。