婦人科の診察では“言われたようにすればいい”
女医と検診といえば、私が40代半ばのころの話。更年期に差し掛かって、生理前になると体調が悪くなったの。それを区の検診のときにかかりつけの女医に言うと、「婦人科の予約、取りますか~」とのん気な声でいうんだわ。
「いやいや、ムリ。心の準備というものがあるでしょうが」と抵抗したら、「まったく理解できないですね。何がそんなにイヤなんですか」と、スレンダーな中年の女医はグリグリ攻めてくる。
そこで私は「先生は婦人科に行くの、平気ですか?」と逆襲した。すると、「私は出産していますから、まったく平気ですね」と言うの。そのとき女医の目がちょっと泳いだのを私は見逃さなかったね。
「出産のあとも、年に一回の検診とか、しているんですか?」「ええ、まあ」「じゃあ、最後に内診台に乗ったのは?」「ええと、3年前、あれ? 4年前だったかな」
こういう正直な医師、大好き! でも、だからといって、婦人科の予約を取ってもらったかというと×。それとこれは話が違うって。イヤなものはイヤなのッ!
まったくねぇ(笑)。何をそんなに守っていたのか、今となると笑うしかないわ。でね。私は、過去の私に言いたい。婦人科健診のときは個性は出さない。感性のアンテナを立てない。ただの人間のメスになって、看護師に言われたようにする。必要最小限しか話さない。そして、この医師ならいいかと思ったら、区の検診とは関係なく、自分のタイミングで四季折々に出向く。
ああ、もしそれができたら、お腹をタテに真っ二つに引き裂くこの手術跡はできなかったかもね。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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