昨年、入院と手術を経て境界悪性腫瘍であることがわかった、ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(65歳)。年を重ねるとともに体の“衰え”を感じることが増えてきたという。オバ記者が綴る。
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60代の有名人の訃報が”こたえる”
松原千明さん64歳、高見知佳さん60歳、笑福亭笑瓶さん66歳、陳建一さん67歳。つい最近、60代の有名人が亡くなったというニュースが飛び込んでくるたびに、しばしネットに目を凝らして、「なんでよ~」が止まらない私。
テレビやネットでしばらく見かけないなと思っても、次の瞬間「まあ、でも元気で活躍しているんだよね」と、何の根拠もないけどそんなことを思っていると、訃報。年のせいかしら。これが前よりずっとこたえるんだわ。
有名人だけじゃない。小、中学校の同級生や農業高校時代の友達もそう。茨城を離れて東京で住んでいる私がつながっている幼友達は限られているけれど、同級生から「知ってる?」と言われるともう聞きたくない! たまには「熟年結婚したんだってよ」なんて春色のニュースを聞きたいものだわ。いや、熟年離婚でもいいよ。生きていればこそだし、今よりよりよい暮らしを求めてのことだしね。
食事に誘ってくる元気な91歳ボーイフレンドも
その一方で、91歳のボーイフレンドが「退院してきたからご飯食べない?」と電話をしてくるし、89歳の叔母(母親の妹)が「あんたの従兄弟が演歌歌手になったの知っているでしょ? 公演、観に行かない?」と誘ってくる。去年の春に93歳で亡くなった母親もそうだけど、彼らとつき合ってみると、体のデキが元のところから違うんだなと思うんだよね。
たとえば今の季節、暑い寒いが定まらないじゃない? 暑かったら脱げばいいけど寒いとどうにもならない。それも60過ぎてからはもう待ったなしよ。ブルッときたのを放置して酔っぱらって寝たら間違いなく風邪をひくもんね。それも翌日じゃなくて翌々日に出る。
だけど昭和ヒトケタ生まれの人は違うんだよ。「80過ぎまで風邪をひかなかったから、風邪の症状がわからなかった」と言ったのは母親だけじゃない。いま、私のまわりにいる後期高齢者はみんなそうよ。きっと食べたものや環境が昭和30年代生まれとは決定的に違うんだと思う。