
ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年10月、「卵巣がんの疑い」で手術を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。そんなオバ記者が最近、「お腹のふくらみ」が気になってしかたがないという。いったい何があったのか――。
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「またお腹、大きくなってない?」
お腹のぜい肉がジャマで仕方がない。わき腹を下にして寝ると上になっているほうは腰骨にさわれるんだけど、下のほうはお腹の肉がだらんと垂れ下がっていてどうにも気味が悪いんだわ。
1か月前、口の悪い年下の友人S香から「またお腹、大きくなってない? 大丈夫なの?」と指摘されたの。
図星。ど真ん中、ストライクだ。だけど不安が大きすぎる時ってすぐに、「そうなのよ」と言えないんだよ。「そんなに変わってないと思うけど」ととぼけたら、「ええ~っ、うそだ。洋服のサイズとか変わっているはずだよ」と二の矢を放ってくる。

「洋服のサイズは変わっていないけど、ちょっと体がむくんでいる? そういえばお腹まわりだけふくらむのは去年の秋に境界悪性腫瘍で手術をする前と同じ感じかも」と言うとS香は、ここぞとばかり「やだぁ。今度こそはがんかもよ。すぐに病院で診てもらったほうがいいって」だって。
S香とは長い付き合いだ。親切心から出た言葉と思いたい。でもそれだけかしら。私、なんか彼女に恨まれるようなことをしたか?
これまで数えきれないほどのダイエットをしてきた私は、それだけダイエットに失敗してきたわけで、一昨年には『で、やせたの?』(有田リリコさんと共著)という本を出版したくらいだ。それがNHK『あさイチ』の目に止まり、「ダイエット失敗の権威」として出演を果たした、なんて話はどうでもいい。

手術後のお腹がやわらかくなってきた
手術後のお腹のぜい肉のつき方は、これまで経験したものではないんだよね。おへその横をグルっと「?」の形にメスを入れて、そのままビキニラインまで茶色の手術跡が20cmほどタテにクッキリと伸びているんだけど、手術直後は「ほんとうに卵巣と子宮を全摘したの?」と疑いたくなるほど腹囲が変わらないんだわ。変わらないといえば体重もそう。切り取った分、なぜ減らないのか、ほんとうに不思議。

しかもお腹の形が季節ものの白桃みたいにゆがんでいるのよ。左側が盛り上がっている。
それだけじゃない。手術後のお腹ってパチパチに固いのね。2月の検診のとき、担当医は「どんどん運動をして腹筋を鍛えてください」といっていたけど、前かがみをしただけでお腹がつかえるし、第一、お腹を引っ込めようとしてもガンとして動かないのに、運動なんかどうやって…。
それがよ。先日、トイレに座ったときに何気なくお腹を触ったら、あれっ? なんと、ゴツゴツがふわふわになっているではないの。息を吸ってお腹を引っ込めてみる。おっ、腹筋が動いた! 胸からお腹にかけて鏡に映してみると、ほんの少しだけどウエストにくびれができている。
「体によさそうなこと」をいくつかした結果?
なぜこうなったか、実は思い当たることがいくつかあるんだよね。ひとつはSNSで仲良くなったMちゃんにすすめられた植物エキス。これを数滴、水に溶かして飲んだら、その夜、よく眠れたのよ。
あと鍼ね。今、2週間に一度のペースで通っている。そうしたらやたら身を動かしたくなってね。区のスポーセンターのヨガ教室に行くようになったんだわ。ちょっと汗が出るレベルのヨガを週に3~4回。

とにかく体によさそうなことを、いくつかしたら、その日によって違うけれど今朝はお腹まわりがやや小さくなったきたような。横になって垂れるぜい肉が薄くなっているような。
昨年夏、区の婦人科検診で、「卵巣が12cmに腫れています」から始まった“卵巣がんの疑い”で、何人かの婦人科の医師の顔色が変わった私のひと言があるの。それは「急にお腹がまわりが太くなった」というもので、「急にって、どのくらいの期間ですか?」と私の顔をまじまじと見たの。「1か月くらい前からです」というと、「う~ん」と顔が曇ったんだよね。つまり、お腹がふくらむ=やばい、ということじゃないかしら。
ここのところ体調は悪くないけど、だからといってお腹の中で起きていることは知りようがない。それでも「やばい」という思いを少しでも減らしたくてお腹のぜい肉を触りつつ、いいと言われることをしているんだよね。
◆ライター・オバ記者(野原広子)

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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