
間近に控える、愛子さまのラオスご訪問。その日程は、雅子さまとともに育まれてきた思い、そして世界からの期待と尊敬の視線が垣間見えるものだった。プリンセスにとって初めての、海外ご公務の内幕とは。【前後編の前編】
薄曇りの午前11時前、黒塗りの車列が東京・港区の赤坂御用地前に続々と到着していた。とりわけ格式の高いトヨタセンチュリーに乗っているのは、天皇家の長女・愛子さまだ。プリンセスは沿道に集まった人々を認めると、後部座席の窓から弾けるような笑顔を覗かせた。その瞬間、曇り空にパッと晴れ間が差したかのように、空気が華やぐ。愛子さまの胸は、1か月後に控えた初めての挑戦を前に、明るく弾んでいたのかもしれない──。
10月20日、91才の誕生日を迎えられた美智子さまへのご挨拶のため、愛子さまは赤坂御用地内の仙洞御所に足を運ばれた。
「両陛下とは別の車に乗られ、おひとりで正門をくぐられた愛子さまは、花飾りのついた淡いピンクの帽子とドレスにベビーパールのネックレスを合わせていらっしゃいました。約30分後、両陛下よりも一足先に赤坂御用地を出られましたが、着替えた後、勤務する日本赤十字社に出勤されたようです」(皇室記者)
昨年10月、仙洞御所内で転倒して大腿骨を骨折された美智子さまは、卒寿を迎える直前の大けがだったにもかかわらず、驚異的な回復を見せられている。
「高齢での大腿骨骨折は、ともすれば寝たきりになるリスクも伴います。しかし美智子さまは痛みを乗り越えてリハビリに励まれ、いまではほぼ骨折前の状態に戻られています。
数年前から続く原因不明の微熱も抱えながら、前向きにリハビリを続けてこられた背景には、上皇さまをお支えしたいという思いに加え、孫たちの成長を見守りたいというお気持ちもあったはず。ここ最近、成年皇族としてのご経験を着実に積まれている愛子さまですが、この11月にはさらなるご成長の一歩となる大きな節目を控えていますからね」(宮内庁関係者)
その“節目”とは、11月17日から22日までの6日間で予定されているラオスへのご訪問だ。愛子さまにとっては、これが初めての海外公式訪問となる。
「今年はラオスと日本の外交関係樹立70周年の節目です。ラオスは1975年まで王国だった歴史があり、日本の皇室に対する国民の関心は高いといいます。今年5月、大阪・関西万博に合わせて来日した同国のトンルン国家主席は、愛子さまのご訪問について“大変光栄だ”と喜びを語っていました」(皇室ジャーナリスト)

愛子さまはこれまでに2度、海外の地を踏まれたご経験がある。当時4才だった2006年には、雅子さまのご静養に伴いオランダへ。そして学習院高等科2年の2018年には、イギリスの名門・イートン校のサマースクールへ参加されるため、同国に3週間滞在された。
「欧州は愛子さまにとっていわばなじみ深い場所。ラオスご訪問が発表される以前は、初めての公式訪問先も欧州になるのではないかと根強く囁かれていました。しかし最終的にラオスに決まった背景には、長子優先の王位継承が常識とされる欧州の国々を訪問されることで“愛子天皇論”が再燃するかもしれないという懸念に加え、今年が同国とかかわりの深い『青年海外協力隊』の発足から60周年の節目の年であることも関係しているでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)
青年海外協力隊とは、外務省の外郭団体であるJICAが各国の課題解決のために人材を派遣する制度で、1965年に発足した。
「その青年海外協力隊がいちばん最初に派遣された国が、ずばりラオスなのです。当時のラオスは隣国であるベトナムでの戦争の影響を強く受け、経済的にもかなり疲弊していた。そこで日本は、JICAを通してインフラ整備や水田の開発、教育システムの構築などを支援し始めました。現在も発展の途上にあるラオスに派遣された協力隊員の数は、これまでに約1000名にのぼります」(国際部記者)
さらに同隊については結成当初から、皇室との深い交流の歴史がある。
「帰国後の隊員には、皇居で天皇皇后両陛下と歓談する機会が設けられます。これは上皇ご夫妻が始められた恒例行事。美智子さまはそうした機会を通じて、支援の現場に携わった人々と交流を深めてこられました。
今回のお誕生日にあたっても、美智子さまは愛子さまに、日本とラオス両国が長年にわたって結んできた絆について語られたはず。同地へのご訪問を間近に控えた愛子さまも、身が引き締まる思いだったのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト)
片道3時間、300kmの道のり
実際、11月のご訪問で、愛子さまは青年海外協力隊が活躍する施設を複数箇所視察される。
「たとえば、隊員が柔道の指導員として活動する武道センターや、学芸員として在籍する国立博物館に足を運ばれます。愛子さまはこれらの施設で、日本の代表として現地の人々のために尽力する隊員たちをねぎらわれることでしょう。
また、今回のご訪問はかなり過酷な日程。6日間の日程のうち、移動日を除く4日間で、施設や学校の視察、国家主席への表敬訪問など、20件近くの予定が組まれています。その中には、宿泊される首都のビエンチャンから約300km離れた古都・ルアンパバーンでの視察も含まれます。同地へは片道3時間ほどかけて移動されることになるのだとか」(前出・宮内庁関係者)

また、愛子さまは今回、“異例の厚遇”でラオスの人々に迎えられるという。
「ラオス側は愛子さまのご訪問にあたり、『国家元首に準ずる接遇を行う』と明らかにしています。実際、これまで秋篠宮家の次女・佳子さまの海外ご訪問では行われてこなかった歓迎行事や、国家副主席主催の晩餐会が予定に組み込まれている。これは明らかに内親王クラスの待遇ではなく、愛子さまが天皇家の長女として世界から注目され、尊重されていることの証左と言えます。
晩餐会では、愛子さまが出席者の前でおことばを話される機会も設けられることになります。語学堪能の愛子さまですから、現地の言葉でご挨拶されるシーンも見られるかもしれません」(別の皇室ジャーナリスト)
(後編へ続く)
※女性セブン2025年11月6日号








