更年期で減った筋肉量をアップさせる食材
更年期は女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減ることで、筋肉量が減少しやすくなります。筋肉量が減少すると基礎代謝が低下するため、年齢とともに筋肉量が減っているにもかかわらず、これまでと同じカロリーを摂取し続けると、脂肪としてたまってしまうのです。
筋肉量を増やすためには筋肉の主成分となる「たんぱく質」を十分に摂ることが重要です。先述した地中海式の食事スタイルでは、豆類を毎日摂取することを推奨しています。地中海式の食事スタイルが実践でき、たんぱく質が豊富な食材としておすすめなのが「納豆」です。
納豆は必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)がバランスよく含まれていることや、肉類でのたんぱく質の摂取に比べて脂質が抑えられることが魅力です。また、発酵することで大豆に含まれるたんぱく質が分解され、消化吸収率も高めます。
納豆と一緒に摂ると効果的な食材は6~8月が旬の「オクラ」です。オクラには、筋肉の合成には欠かせないビタミンB2、B6が含まれるため、納豆と一緒に食べることで効率的に筋肉量のアップを目指せます。
更年期のダイエットには漢方薬も役立つ
更年期の女性ホルモンの減少による脂質代謝の低下対策には、漢方薬も役立ちます。
脂質代謝の低下には「脂質代謝を改善する」「脂肪の吸収を抑える」「脂肪の燃焼をサポートする」「余分な脂肪を便と一緒に排出する」「血流をよくして代謝を高める」といった働きがある生薬を含む漢方薬を選びます。
漢方薬は自然の生薬からできていて比較的副作用が少ないとされているため、初めての人でも安心して利用できるのが特長です。
脂質代謝を改善する漢方薬
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
脂質代謝を促し脂肪を分解・燃焼するほか、脂質の吸収を抑制する漢方薬です。比較的体力があり、便秘がちでお腹周りに脂肪がつきやすい人に用います。
・大柴胡湯(だいさいことう)
体の余分な熱を取り除き、自律神経を整える働きを持つ肝(かん)の働きをよくして、脂質代謝を改善する漢方薬です。体つきががっしりとしていて、ストレスで食べ過ぎてしまう人に用いられます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん
おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。