
絶景というワードに心惹かれるかたも多いですよね。今回は手軽に絶景が楽しめる宿を旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介します。
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「絶景」は、旅のテーマとして人気です。私もテレビ番組で絶景を紹介することがありますが、「アクセスが大変」など、労力がかかることも多くあります。もっと手軽に楽しめたら……。そんなかたのために、今回は絶景を手軽に堪能できる宿を紹介します。
朝日と夕日…岬の突端にある温泉宿で移ろいゆく絶景を堪能(島根県)
島根半島の西端に位置する日御碕。この地に昨年誕生したのが温泉宿の「界 出雲」。複雑な海岸線が続き、出雲松島とも呼ばれる美しい景観、岬の先端には海抜日本一の「出雲日御碕灯台」を臨む絶景が広がり客室からも楽しめます。なかでも必見なのが、夕暮れと日の出。「界 出雲」から最も近い神社である日御碕神社の下の宮は、「日沉宮(ひしずみのみや)」と呼ばれ、天照大御神が祀られ「日の本の夜を守る」と言われているそう。

宿は東西ともに開けた立地にあるため、夕日が沈むときから夜が明けるまで、刻一刻とかわる空と海の情景が楽しめます。朝日を臨む場所にはテラスや温泉などパブリックスペースが設けられ、強塩温泉の露天風呂につかりながらみる朝焼けは格別。

灯台側の客室や宿の入口からは灯台越しに沈む夕日を眺め、時の移ろいを体感する絶景が楽しめます。



宿から日御碕灯台はでは徒歩で数分。石造りの白亜の灯台は、眺めても絵になりますが、上まで昇ることもできる貴重な灯台です。

また、海沿いには遊歩道が設けられ、絶景を眺めながら日御碕神社までの散策もおすすめです。

■界 出雲 https://www.hoshinoresorts.com/resortsandhotels/kai/izumo.html
鳥の声に目覚め観光リフトで山頂へ。浅間山を臨む絶景を堪能(長野県)
軽井沢駅を降りると広がる「プリンスグランドリゾート軽井沢」。東京ドーム約95個分という敷地内には、ショッピングプラザやゴルフ場、ホテルなど施設が充実。複数あるホテルは、タイプも価格もバラエティに富み、好みに応じて選択できるのもうれしいポイントです。

筆者がおすすめするのは、コテージタイプの客室。森の中に点在し、夜には満天の星を眺め、朝には鳥の声で目覚めます。


絶景は、リゾート内にあるスキー場にあります。観光リフトで約10分、山頂にアクセスすれば、空に浅間山がそびえる見事な絶景が広がります。


■プリンスグランドリゾート軽井沢 軽井沢プリンスホテルスキー場(夏)https://www.princehotels.co.jp/ski/karuizawa/summer/
狙うは雲海!早起きは必要。でもアクセスはゴンドラでOK(北海道)
夏の絶景といえば、北海道トマムの雲海。通常雲海といえば、夜明け前の暗い中、山道を鑑賞スポットまで車でアクセスが必要ですが、ここではゴンドラで簡単にアクセスできるのが魅力。前日の午後には、雲海の出現予報も発表があり、コンディションを見ながらチャレンジできます。3種類ある雲海のうち、太平洋型雲海は、雲が生きているかのような大迫力が楽しめ、絶景中の絶景。一生に一度は見たい絶景です。

山頂にはおしゃれなカフェや、絶景を楽しむために6つのユニークな展望スポットもあり、撮影スポットが満載。

晴れた日は、雲海が出なくても、山々や眼下に広がるリゾートがあり、こちらも一見の価値ありの景色です。2023年の雲海テラスの営業は10月16日まで。

8月31日までは天空の絶景を望むテラスを貸し切る「雲海テラスキャンプ」も実施。夜には満天の星、夜が明けて雲海が出現する刻一刻と変わりゆく空の様子を楽しめます。絶景をひとり占めしたいかたにおすすめです。愛犬の同伴も可能です。
■星野リゾート リゾナーレトマム 雲海テラス https://www.snowtomamu.jp/summer/unkai/
【番外編】夏の東京でも雲海が!「ホテル椿山荘東京」大迫力の「超雲海」登場
すっかり都会の風物詩となった、「ホテル椿山荘東京」の雲海。人工的な演出ですが、日本庭園の美しさ、あるいは夜と雲海のコラボはここだけ。美しく情緒があります。

そして今年は例年の2倍の噴霧量となり雲海もパワーアップ。さらに4倍の密度で大迫力の雲海「超雲海」も早朝、ならびに夜にかけて出現し、宿泊客限定で楽しめます。


庭園で雲海に包まれるのを体感型で楽しむのもよし、庭園側の客室なら、俯瞰で雲海が湧き出て一帯が真っ白になる水墨画のような景色をライブでひとり占めできます。

他にも江戸風鈴を庭園内に約300個設置する「風鈴の小路」、約40本の竹ぼんぼりと約14個の竹まりが、優しく庭園を照らす「竹あかり」も開催。いずれも9月18日まで。ゆっくり楽しめるように庭園への入場はホテル利用者のみとなっているので、宿泊、あるいは食事やお茶と一緒にどうぞ。レストランでは雲海にちなんだコース料理もあります。暑い夏、しばし涼を感じてゆったりと過ごすには最高の絶景です。

■ホテル椿山荘東京~東京雲海 https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/unkai_lightup/
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを