エンタメ

殺し屋シングルマザーが主人公の韓国映画『キル・ボクスン』、「育児より殺人のほうが単純」の衝撃セリフ

Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
殺し屋シングルマザーが主人公!Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
写真11枚

凄腕の殺し屋キル・ボクスン(チョン・ドヨン)は、同業者たちの若者たちから尊敬と憧れをほしいままにする偉大な存在だが、家に帰れば思春期の娘との関係に悩むシングルマザーでした。2023年春に配信開始して以来、話題を集めるNetflix映画『キル・ボクスン』を、韓国ドラマや映画などに詳しいライター・むらたえりかさんが解説します。(レビューはネタバレを含みます)

* * *

育児より殺人のほうが単純?

仕事と子育ての両立。母親たちの悩みを「殺し屋のシングルマザー」という設定で描いたのが、3月31日から配信中のNetflix映画『キル・ボクスン』だ。

主人公のキル・ボクスン(チョン・ドヨン)は、どんな依頼も失敗しない凄腕の殺し屋として活躍している。男女問わず、殺し屋志望の若者たちの憧れの的だ。しかし、家庭では思春期の娘の態度に悩むシングルマザー。娘のジェヨン(キム・シア)はボクスンに壁をつくり、隠しごとをしている。

「育児より殺人のほうが単純」とボクスンは言う。SNSで、幼い子どもを育てる母親たちが「仕事をしていたほうが楽だ」とこぼす投稿と重なる部分があると感じた。

シングルマザーとして思春期の娘・ジェヨン(キム・シア)を育てるボクスン(チョン・ドヨン)/Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
シングルマザーとして思春期の娘・ジェヨン(キム・シア)を育てるボクスン(チョン・ドヨン)/Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
写真11枚

韓国映画を見るぞと気合いを入れて見はじめると、最初のシーンの日本語に驚く。映画『ユア・マイ・サンシャイン』(2005年)のファン・ジョンミンが、神戸の暴力団幹部「織田真一郎」役でゲスト出演しているのだ。ファン・ジョンミンが日本語を話している姿はなかなかレア。

ボクスンは、暗殺請け負い業者「MKエンターテインメント」に所属している。代表のチャ・ミンギュ(ソル・ギョング)は「殺人はいまや世界的なビジネスなのです」と演説する。大した収入にはならないものから、政治家やマフィアが関わるAランク案件まで、MKエンタにはさまざまな殺人の依頼が舞い込んでくる。

「殺人をしながら子育てなんて、矛盾しているわね」

学校でクラスメイトに怪我をさせたジェヨンと上手く向き合えないボクスンは、隠してはいるものの、自分の仕事のせいで娘に悪い影響を与えているのではないかと悩みはじめる。お互いに隠しごとをしているボクスン、ジェヨン親子。本当は正直でいたいと思っているふたりが、自分自身がつくり出した壁を壊しながら歩み寄っていく。

ジェヨンはボクスンに言えない悩みを抱えている/Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
ジェヨンはボクスンに言えない悩みを抱えている/Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
写真11枚

主人公のボクスンを演じるチョン・ドヨンは、ドラマ『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』で明るく真っ直ぐな母親を演じていた。50歳にして、今回アクションに初挑戦した。脚本、監督を担当したのは、映画『名もなき野良犬の輪舞』(2017年)や『キングメーカー 大統領を作った男』(2022年)のビョン・ソンヒョンだ。

周囲やジェヨンには、殺し屋ではなく「イベント会社」に勤めていると言っている/Netflix映画『キル・ボクスン』独占配信中
写真11枚