趣味・カルチャー

66歳オバ記者、「ひとり暮らしを死ぬまで楽しむ」生涯現役がモットーも大病経て「健康であってこそ」を実感

オバ記者
最近の悩み事は認知症だというオバ記者
写真10枚

ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。自宅介護の末、母親を看取ったのは一昨年春のこと。その母親の妹(叔母)が認知症を患い、先日、特別養護老人ホームに入所した。「他人事ではない」と感じたオバ記者が考えるこれからの生き方――。

* * *

認知症、次は自分の番?

66歳の私が最も恐れるもの。夜中、ひとり暮らしのマンションでつらつら考えると、とどのつまりは認知症なんだよね。というのもここ1年で身近に認知症の人がわっと増えてきたからなの。

少し前は考えもしなかった認知症が急に身近に感じるように(写真は元気だったころの母ちゃんとカンパイの一枚)
写真10枚

認知症といっても人それぞれでね。「もう、やだ~」と笑ってすませられるレベルから、こちらの精神に食い込んでくるタイプまでいろいろだけど、私の場合、両親を見送っているので介護をする心配はない。その分、親がいない世を生きるのはこんなに心細いのかと母親が亡くなって3度目の夏、しみじみ思い出したんだけど、それはともかく。これまで認知症の親をどう介護するかと、そっちばかり考えていたけど甘かったね。今度はお前の番だよという悪魔のような声がどこからともなく聞こえてくるんだって。

オバ記者と叔母
叔母も認知症になって特別養護老人ホームに入所した
写真10枚

「認知症になったら何もわからない」にショック

私が認知症をわが事として意識しだしたのは、昨年10月に卵巣と子宮の全摘手術をして退院してしばらくたったとき。9歳年上の友だちのA子とLINEでやり取りをしていたときに、「退院後2週間は湯船に入るの禁止と医師から言われているから、足だけにしている」と書くと、「それじゃ、温まらないね」と返ってきた。と、ここまでは思いやりのある言葉が並んだんだけど、「でも湯船を見ているとついお湯に肩を沈めたくなるのよ」と書くと、「ちょっとボケたか」と。(笑)も何もない、ストレートど真ん中。

オバ記者
昨年、卵巣がんの疑いで手術を受けたオバ記者
写真10枚

それだけじゃない。「入院をきっかけに認知症になる人もいるっていうから気を付けてね」だって。A子はときどき「えっ?」と驚くようなことを言う人だけど、大手術を終えて不安のかたまりになっている友人に言う言葉? 混乱して頭全体が真っ白になり、さらに頭の芯が痺れだした私は、「そうなったら私は一巻の終わりだよ」と返したの。

「でもいいじゃない。認知症になったら何もわからないんだから」とA子。「いやいや、たいがいの認知症の人は自分がおかしなことをしているとわかっているみたいだよ。それでも止められないから悲しいんだよ」と、だんだん私も本気モードになってきちゃった。

オバ記者の母親
「認知症になったら何もわからなくなるからいい」とA子は言うけれど…(写真はオバ記者がプレゼントしたスカーフをいつも巻いていた母ちゃん)
写真10枚
関連キーワード