ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年10月、「卵巣がんの疑い」で手術を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。それから8か月、再び検査を受けるために大学病院へ。担当医から言われたこととは――。
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思い出した「卵巣がんかも」と言われたあの日
昨秋の卵巣の境界悪性腫瘍の手術から8か月。退院して4か月目の検査は内診をして「特に異常は見られません。次はまた4か月後にCT検査をしましょう」と言われたっけ。あれからあっという間の4か月。先日、退院後の2度目の検査を受けるために、大学病院へ向かったの。
大学病院というだけで敷居が高くて気後れするのは相変わらずだけど、それでもその時の状況次第でずいぶん心持ちが違うものなのね。最悪だったのが、町の婦人科医から「おそらく良性腫瘍か、悪くても初期の卵巣がん。あとは大学病院で精密検査を受けてください」と言われて門をくぐった日だね。さあ、鬼が出るか、蛇が出るか。半か長かとビクビクしていたのは病院の入り口まで。
いったん入ると私の行くべきところは右か左か。てか、診察の手続きはどうするんだ? あのね。その疑問に対する答えは、みんないただいたパンフレットに書いてあるの。
でも、それ以前に「卵巣がんかも」と言われて私は死の一里塚に向かって歩き出したのかもと思っているからおっかなくて、地に足がつかないんだって。パンフレットの文字を追え、というのは健康な人の考えでね。キョロキョロと見回していたら案内係の人が目に入ったんだけど、彼女たちだけじゃない。病院のスタッフというスタッフが、みんな「健康印」のワッペンを付けているような気がしてね。妬ましいというか、にくらしいというか。