
ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年10月、「卵巣がんの疑い」で手術を経験。その後、境界悪性腫瘍と診断された。それから10か月、検診を受けても「異状なし」だが、体調への不安は消えないという。オバ記者が大病を経験した“その後”を綴る。
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大病したようには見えない?
ちょうど去年の今ごろだよね。急に下腹がふくれてきたのは。これはただの肥満じゃないよなぁと夜な夜なお腹をさすっているのにもくたびれて区の婦人科検診に行って…。それから1年たった今、「ほんと、大病したようには見えないよね」と人から言われ、私自身も「確かに!!」とわが身が愛おしく感じる今日この頃なの。
先日は愛車の原チャリに乗って、千葉県柏市の『道の駅しょうなん』まで往復約70kmのソロツーリングをしてきちゃった。しかも午後1時に出発して、夜8時に帰宅という強行軍。

大病の話にもどすと、1年前、急にビア樽のようなお腹になってきて区の検診の2日後には婦人科専門病院に行って1週間後にはがんかどうか調べるMRI検査専門の病院へ。その5日後には画像を持って大学病院。そこから1か月かけてあらゆる精密検査をして10月初めに手術台。まぁ、あの時は頭もカラダも「卵巣がん?」一色よ。

結果は「境界悪性腫瘍」という、がんとは言い切れないけれど、良性ともいえないという、なんとも落ち着きの悪い病名をもらって1年間。4か月おきの定期検診では「異常なし」で今日に至る。
自分の気持ちと体がひとつにまとまらない
でも、それはあくまでも病院側、医療側の見立てであって、私の実感はそんなに単純じゃない。お腹の真ん中をふたつに分けた開腹手術がこんなに体にダメージがあるとは誰も教えてくれなかったもの。てか、教わったところでピンとこなかったに違いないんだけどね。

どういうことかというと、自分の気持ちと体がひとつにまとまらないっていうのかしら。気持ちは「イケる」と思い動き出すんだけど体が続かない。それ以前に「イケる」と思うほどに動かない。そのうち「イケる」という気持ちもなえてきそうになると体も動かなくなる。とまあ、そんな感じよ。
とはいえ、上京してから約半世紀の間、ずっとその日暮らしをしてきた私は大病をしたからといって来月の家賃の心配をするのは変わらないわけ。退院した1週間後には前から続けていた議員会館にバイトに出かけて、原稿も書いたのは必要に迫られたからなんだけど、それが結果的には良かった気がする。仕事をしている間は病気のことは考えないし、前を向くしかないしね。

マッサージを受けて「肩が動くようになりましたね」
だけど仕事から離れると体がバランバランでまとまらないんだわ。部品がちゃんと収まるところに収まってない感じがしてね。それで毎週のようにリンパオイルマッサージかタイ古式マッサージのどちらかをして、さらに鍼治療を追加。ま、早い話、なかなか進まない自然治癒力に外圧をかけたわけよ。
それが先日、「おっ、前より肩が動くようになりましたね」とタイ古式マッサージをしてくれているNさんから言われたの。Nさんに施術してもらうようになったのは、2年前、母親の介護で身も心もバリンバリンに強張っていたときに飛び込んで以来だ。思えばその時からずっと「今日もゴリゴリでしたね」と顔を曇らせっぱなしだったNさんから初めて明るいこと言われた気がする。

思い当たることはひとつ。その数日前に区のスポーツセンターのヨガ教室に行ったのよ。たった一回だけでも効果があるの? その時は半信半疑だったけれど、それから週に1回のペースで通いだしたら明らかに体の動きが良くなってるの。マッサージなどの外圧で体を動かしてもらっている時とは違って、もっと内側からふつふつと動きたい衝動が湧いてくる感じ。

それで先日からはスポーツセンターの中のトレーニングルームで、入念にストレッチをした後、マシンを使って足と肩のトレーニングを20分。翌日は軽い筋肉痛があったけれどシップ薬を貼ったら一夜で消えちゃった。
「16時間断食ダイエット」も始めた
炎天下、広い国会の中を案内しながら歩くのはなかなかの重労働だけど、トレーニングの成果か、先日は足がやけに軽く感じたの。その日は夕方から出版社に回って原稿を書いたんだから。で、翌日も朝から原チャで日本橋のデパートまで買い物に出かけていたの。手術後というか、その数年前よりずっと元気かもね。猛暑の中、家でクーラーにあたってじっとしているより、風をきってバイクで突っ走るほうが、ずっと気持ちいいしね。

それだけじゃないよ。実は1か月前から16時間断食ダイエットを始めたのよ。1年前、「ダイエット失敗の権威です」と言ってNHKの『あさイチ』にまで出演した私が何をいうかと笑われそうだけど、これ、けっこうイケてるんだよね。1か月でスルッと3kg減って、なかなかの成績でしょ?

このダイエット法なら国会のランチに吉野家の黒毛和牛牛重(1419円)を食べても断食明けの8時間の間ならOKで、私でも続けられそう。と、ダイエットをしようという余裕まで出てきたのですよ。
なんでもそう。いくつになってもやれることはやったほうがいいんだって。
◆ライター・オバ記者(野原広子)

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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