獣医にかかるかどうか、様子見は長くて2日
このように、犬はさまざまな理由で水を飲まなくなるので、動物病院で診察してもらう必要があるのかどうか、判断に悩むところです。どう見極めるといいのでしょうか。
「まず元気があって、食欲もあって、ただ水を飲む量が落ちてしまったという場合には、1~2日は様子を見てもいいと思います。水を飲まない理由はわからないけれど、自然とまた飲むようになるという可能性があります。3日以上、飲水量が少ない場合は、元気そうに見えても、受診したほうがいいでしょう。
水を飲まないだけではなく、元気がない、食欲がない、嘔吐したなど、他の症状も現れている場合は、早めに動物病院を受診したいですね。飲まず食わずでは脱水症状を起こし、胃腸の働きも低下して、状態はどんどん悪くなる一方です」
水の器や温度、風味を変えてみる
愛犬に水を口にしてもらえるように、飼い主さんにも試せることがいくつかあります。
「水の飲ませ方を変えてみるといいかもしれません。例えば、水入れをシンプルなボウル形状のものから、高杯(たかつき)のように脚のあるタイプに変えてみる。台を使って高さを出す手もありますね。首が楽で、このほうが飲みやすいという子もいると思います」
水の温度を工夫してみると喜ばれるかもしれません。
「飲み水の温度は、犬それぞれに好みがあるので、日頃の飲みっぷりを観察して、常温が好きか、冷たいのがいいのか、温かいのがいいのか、把握しておくといいですね。蛇口から直接飲みたがるような子は、蛇口が面白くてそうする可能性もありますが、冷たい新鮮な水が欲しいと思っている可能性もあります」
さらには、水そのものを変えてみるという方法も。
「成分や風味を変えてみる方法です。浄水器を通した水にするのもいいです。人間用のスポーツドリンクを3倍以上に薄めて与えてもよいですが、犬用のスポーツドリンクも販売されているので、そういうものを使うほうがベターです。ただし、人間用のミネラルウォーターを与えるのはやめましょう。犬にとってはミネラルが多すぎるので、尿石症などのリスクがあります。人間のスポーツドリンクをそのままの濃度で与えるのもやめてください。塩分や糖分が犬には過剰です」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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