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67歳オバ記者、尿管結石の痛み「まさかの第二波」 どん底まで落ちて開き直る…そのあととった行動とは?

下腹部にいや~な感じを抱えつつ、いちばんしたかったことを叶えてきたオバ記者
下腹部にいや~な感じを抱えつつ、いちばんしたかったことを叶えてきたオバ記者
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2025年を迎え、ライター歴46年を迎えたオバ記者こと野原広子(67歳)。昨年末、尿管結石になり、激痛で飛び起きた。今も悩まされる痛みの中、オバ記者がとった意外な行動とは…。

* * *

尿管結石の痛みが再び…

尿管結石のあまりの痛さに悶絶してから2週間。「いざという時はこれをのんでください」とかかりつけ医のT先生からお薬を処方してもらってのんだら、痛みはウソのように消えた、と言いたいところだけど、まさかの第二波が押し寄せたの。前ほどの痛みではないけれど、下腹部に何かが詰まっているいや〜な感じ。がんがん浴びるように水を飲んでいるんだけどなぁ。もしかしたら尿管に石が詰まっているだけじゃなくてもっと悪い病気じゃね? 心配が心配を呼んで寝返りばかり打って寝られやしない。

オバ記者
痛みが別の病気かもしれないと心配で眠れない…(写真の布団カバーはオバ記者の手作り)
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だけどそれが幾晩も続くような性格だと40年近くひとり暮らしはできないんだわね。心配のどん底まで落ちるのも早いけれど、まぁ、いまさらジタバタしても始まらないわ。それより今できること、したいことをしちゃおうっと開き直る。ま、目先の快楽に溺れてイヤなことは忘れるのは長年の習性だね。

中央線のグリーン車へ

で、この時、私がいちばんしたかったことは、中央線のグリーン車に乗ること。3月のダイヤ改正までグリーン料金なしで乗れるのは知っていたけど、用もないのにただ乗るっていうのはどうよと、大人の私が必死で押し留めていたんだけど、ああ、もう我慢の限界。冬晴れのある日、とうとう神田から中央線高尾行き快速のグリーン車に座ってたわよ。

平日の午後1時52分発。ほぼ満席だけどパソコンやスマホから目を離さない人がほとんどだから、まぁ、気持ちいいほど静かなんだね。その時、なぜか急に、オペラ『椿姫』を聴きたくなった私。で、スマホから流れてくる前奏の「すっちゃんちゃん、すっちゃんちゃん♪」が始まると、おおお、ひゃははは、たまらんですわ。

とうとう乗ってしまったグリーン車
とうとう乗ってしまったグリーン車
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オペラにハマっていた頃

実は私、30代始めから50代までの20年間、麻雀の深い深い沼にハマっていた同じ時期に、もうひとつの沼に足を取られていたの。それがオペラだったのよ。「キャラじゃない」と笑われそうだからあまり人に話していなかったけど、ある時、クラッシック音楽番組の司会をしていた女優の檀ふみさんにインタビューをしたらオペラの話になった。お上品なあの声で「野原さんはどういうジャンルがお好きなの?」と聞かれたから「イタリアオペラです」と答えたら、「まぁ、官能をやられたんですね」とそのものズバリよ。

盛りのついた猫じゃないけど耳の快楽を溺れて新国立劇場の当時500円の当日券を買うために朝早くから並んだことも一度や二度じゃない。ギャンブルでスッテンテンだったくせに安い航空券を見つけるとどうにも止まらなくてね。1泊5000円くらいの宿に泊まってミラノ、パリ、ジェノバ、ローマの歌劇場の天井桟敷や安席に潜り込んでたわけ。

26歳の時、女友達と訪れたギリシャのシフノス島
海外まで見に行っていたオペラ(写真は26歳の時、女友達と訪れたギリシャのシフノス島)
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あちらの天井桟敷はエレベーターが行く最上階のさらに階段を登った先にあって、席は木のベンチだったり、立ち見だったり。で、そこにはこりゃあ、毎日通っているなという風体のおじさんが必ずいるの。世界各国、趣味はいろいろだけど、度を越したオタクはみんな同じ匂いを発しているんだよね。一応、ジャケットは着ているけどかなりくたびれていたり、黒やグレーの毛玉つきセーターもオペラオタクの印でね。それから例外なくひとりで来ている。

イタリアへオペラ旅、またいつか…

オペラの終演後のおじさんたちの表情がまたいいのよ。ブラーボなら喜びを噛みしめ、ダメ演奏のときは憮然と怒りを噛み殺したり、口の中でぶつぶつ何か言っていたりしてね。こういうおじさんを階段を降りながら横目で観察する楽しさといったらない。

で、下界に降りると香水にまみれたセレブマダムたちが……と、これはパリやローマ、ミラノ、トリノの大都会の劇場の話でね。イタリアの清水港といった感じのジェノバの歌劇場はまったく違っていたの。劇場の前に観光バスが何台も横付けされていてね。そこからファッションとは無縁の田舎風のおじさんおばさんがゾロゾロ降りてきて、香水の匂いも薄め。演目は忘れてしまったけれど、えらくリラックスして観劇した覚えがある。

またいつか本場のオペラを鑑賞するために、足腰鍛えておかなくちゃ
仲睦まじく話しているカップルがうらやましい~。なんてね
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なーんてね。興味本位で行き当たりばったり、やりたい放題だった私も気がついたら前期高齢者。オペラ漫遊の旅はもういいかなと口では言いながら、来たるべき日に備えて隅田川の向こうの清澄公園まで小一時間のウォーキングしているんだから世話ないわよ。で、くたびれて公園のベンチに座ってひと息ついていたら、私と同世代らしきカップルが仲睦まじく話しているではないの。これからこういうオプションも付けたいな~なんてね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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