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《100歳は目の前》石井ふく子、尽きることない創作意欲 「白寿記念公演」稽古で“立ちっぱなしの演技指導”、支えとなるのは橋田壽賀子さんとの約束 

精力的に活動を続ける石井ふく子(時事通信フォト)
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「最近は杖をついて移動することが増えましたが、稽古場での姿は以前のままです。今回も長時間立ちっぱなしで出演者に演技指導していましたし、重要な場面では自ら演じて手本を見せていました。熱心な指導で知られるかたではありますが、今作はいつも以上に熱を帯びる場面が多かったように感じました。白寿とは思えない迫力でした」

上演中の舞台『かたき同志』の関係者は、演出を務める石井ふく子(99才)の稽古現場をこう振り返った。9月1日に99才の誕生日を迎えた石井。「白寿記念公演」と題された節目の舞台ではあるが、熱血指導の理由はほかにもあるという。

「『かたき同志』は2021年に亡くなった橋田壽賀子さん(享年95)が脚本を書き、石井さんが演出を担当して、1978年から何度も再演を重ねてきた傑作芝居です。

2人は『渡る世間は鬼ばかり』シリーズ(TBS系)をはじめ、数々の名作ドラマを世に送り出しました。それだけに関係は深く、橋田さんが亡くなったときは石井さんは気力が湧かず、引退を考えたこともあったほど。石井さんは亡くなる直前の橋田さんと交わした“ずっと仕事は続ける”という約束を支えに、現役を続けているといいます。

『渡鬼』シリーズは国民的ヒット作に
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今回の再演は12年ぶり。“約束の舞台”を橋田さんに届けるという思いもあるのかもしれません」(前出・『かたき同志』の関係者)

年齢を重ねたことで変化した、同志の存在も影響している。ともに一時代を築いた大女優との交友が深いことでも知られる石井。70代に入ってから、京マチ子さん(享年95)、奈良岡朋子さん(享年93)、若尾文子(91才)の同志4人、同じマンションで「ひとつ屋根の下生活」を送っていたのは有名な話だ。

「毎年元日に石井さんの自宅に集まっていた4人ですが、2019年に京さんが亡くなり、2023年には奈良岡さんも亡くなりました。そうしたなかで最近、若尾さんも仕事と距離を置く決断をしたそうです。またひとり仲間が現場を離れたことで、石井さんは彼女たちの意志を後世に伝えるためにも、命の限り仕事を続けるという考えを強めた。そうした思いもあって、『かたき同志』では熱のこもった凄みのある指導になったのかもしれませんね」(前出・『かたき同志』の関係者)

創作意欲が尽きることはない。

※女性セブン2025年9月18日号

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