
2025年の訪日外客数が累計3500万人を突破(10月時点)、4000万人超も現実味を帯びる中、ホテルの開業ラッシュが続いている。ホテル評論家の瀧澤信秋さんが説明する。
「2025年は外資系高級ホテルの開業が際立ち、これまでの有名ホテルブランドの地方進出といった動きや、『フェアモント東京』など日本初上陸のホテルブランドの登場も話題となりました。コロナ禍前からそうした動きはありましたが、コロナ禍を経て停滞していた建設も進み、国内資本も含め、2026年も多くのホテルが誕生するでしょう」(瀧澤さん・以下同)
インバウンド客だけでなく、日本人の間でも「2026年は国内旅行を増やしたい」と考える人は多い。デジタル旅行プラットフォーム「アゴダ」を運営するAgoda Company Pte. Ltd.の調査では、日本人旅行客の約7割が「2026年は国内旅行を増やす」と回答している。数多あるホテル・旅館の中から、選ぶポイントはどこか?
「ずばり『ほかにはない個性をもつ宿』です。都会の真ん中で天然温泉の内風呂や日本庭園を有する高級旅館『ふふ 東京 銀座』(2025年11月開業)はその1つ。毎日熱海から温泉を運ぶと聞き、ここまでやるかと驚きました」

古い施設を新たに蘇らせた「リノベーションホテル」も見逃せない。国の登録有形文化財である弥栄会館を継承した「帝国ホテル 京都」(2026年3月開業予定)や旧奈良監獄(重要文化財)を活用した「星のや奈良監獄」(2026年開業予定)など、歴史的建造物に宿泊する体験は、忘れがたい思い出になる。
「古い京町家を現代的な快適さで提供する京都の『鈴』も注目です。なかでも2025年9月に開業した『鈴 京都御所南 喜承庵』は、113平方メートルの広大な町家を一棟貸し。露天風呂やワインセラーがあり、床暖房もついて寒い冬も快適。外国人観光客の激増で日本人が京都旅行を控えているといわれますが、こんな宿なら、街を歩き回らずとも京都らしい滞在が叶うでしょう」
動き回りたいアクティブ派には、暮らすように旅する「アパートメントホテル」という選択肢もある。キッチンやランドリーが備わったホテルだけに、清掃が入る時間も気にせず、自由に過ごせるのが特徴だ。
「既存のホテルをモダンに改装した『クロススイーツ東京浅草』が2026年夏に開業。全国各地に展開予定です。ゲスト同士が集うラウンジがあり、特に浅草は外国人旅行者が多いので、国際交流もはかれそうですね」
2026年は「新しい宿」を目的に、旅を計画してみるのも興味深い。
※女性セブン2026年1月8・15日号