
加齢とともに、不調や健康不安は増えるばかり。関節の痛み、肌のアンチエイジング、機能が低下する胃腸の働きを補うなど健康や美容効果が期待できるサプリメントに頼りたくなることもあるだろう。本当に頼るべきサプリの選び方を健康のプロが教える。
疲れやすい、目がかすむ、しわもシミも増えるばかり―日々感じる老いの原因に“隠れ栄養不足”を指摘するのは、ナビタスクリニック川崎院長で内科医の谷本哲也さんだ。
「年を重ねるごとにカロリーは足りているのに必要な栄養素が足りない“隠れ栄養不足”の人が増えていきます。特に50代以降の女性は、食事量が減り、胃腸の吸収力が衰えるとともに閉経後の骨密度低下などが重なり、若い頃と同じ食生活では不足してしまう栄養素が多くあるのです」
ジュノ・ヴェスタクリニック八田院長である八田真理子さんが続ける。
「更年期以降、女性ホルモンのエストロゲンが減り、さまざまな不調が出てきやすくなる。更年期障害、骨粗しょう症、健忘、肌の乾燥やくすみなど急激な体の変化に焦る人は多いです。食が細くなっていき、食事から充分な栄養素が摂れず、サプリメントに頼る人も少なくないでしょう」
高齢化進行、健康志向の高まりで健康食品市場は年々拡大し、サプリ市場も約1兆円規模で推移している。一方、2024年に紅麹サプリによる健康被害が大きく問題視され、サプリの安全性に対する疑問の声や安易な使用のリスクが注目された。しかし健康管理のプロである医師や薬剤師でサプリ摂取を習慣にしている人は少なくない。では実際に医師たちがすすめるのはどんなサプリなのか。
更年期にはエクオール
医師たちの支持を集め、1位となったのは、多くの女性の悩みである更年期障害に関連する「エクオール」だ。
「大豆に含まれるイソフラボンが腸内細菌によって代謝、変換された成分で、女性ホルモンの低下を補います。ホットフラッシュなどの更年期症状の改善、骨粗しょう症の予防、肌のコンディション維持、乳がんの予防などへの効果が期待できます」(八田さん)

2位に挙がったのは「EPA・DHA」だ。血液をサラサラにし、心血管疾患の予防、関節の痛み改善などが見込める。青魚などに多く含まれるが、EPA・DHAは体内では生成されないため、サプリでも補うといい。サプリメント専門薬剤師の平井陽子さんが語る。
「細胞など体内組織の老化抑制や修復をする抗炎症作用もあり、肌のたるみやしわ予防、紫外線による皮膚ダメージの回復を助けるといった美容効果が期待できます」
死ぬまで自分の足で歩くためには骨を強く保つことが望ましい。そのために必要なビタミンD(3位)やカルシウム(6位)もランクインした。SAWAKO CLINIC×YS統括院長の日比野佐和子さんが解説する。
「カルシウムが不足すると骨粗しょう症リスクが大幅に高まり、転倒時に骨折しやすくなる可能性があります。高齢者は骨折をきっかけに活動量が低下し、寝たきりにつながることも。カルシウムの吸収にはビタミンDとマグネシウムがかかわるため、バランスよく摂取することが大切です」
ここ数年で注目が高まっているのが11位の「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」だ。“若返り成分”ともいわれるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質に変化し、高いアンチエイジング効果が期待される。

添加物の少ないものを選んで
ランク外となったが、女性には「シトルリン」もおすすめと話すのは、女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀さんだ。
「アミノ酸の一種で、体内で一酸化窒素(NO)の生成を促して血管を広げる働きがあります。
血行を促進して冷え症の改善や疲労回復、動脈硬化の予防のほか、抗酸化作用で肌の老化を防ぐ効果も期待できます」
腸内環境を改善する「酪酸菌製剤」も見逃せない。
「腸内で短鎖脂肪酸を産生して、腸のバリア機能の維持、便通の改善をサポート。腸内フローラのバランスを整え、健康維持に役立つ可能性があります」(日比野さん)
実際にサプリをのむうえで注意すべきなのが薬とののみあわせだ。マイシティクリニック院長の平澤侑來さんが指摘する。
「ビタミンKを含むサプリが、血栓や心筋梗塞などの予防に使われるワルファリンの作用を妨げたり、ミネラルの一種であるクロムが配合されたサプリと糖尿病の薬をあわせてのむことで、低血糖になる可能性がある。薬を服用している場合は、医師に相談しましょう」
利用者の増加につれネット通販で気軽にサプリを購入できる環境が整っているが、ネットの情報を精査せずに購入するのは禁物だ。金沢医科大学総合内科学教授の赤澤純代さんが語る。
「薬局などで正規品を買ってください。安く手に入れようとネット通販で買うと、偽物だったり、含有量が不明瞭なものもあります」
含まれる成分によっては、腸内環境を悪化させる可能性も指摘されている。
「保存料や人工甘味料などを多く含むものは摂りすぎによって腸内環境に影響を与える可能性も指摘されています。成分表示を確認し、過剰な添加物が少ないものを選びましょう」(日比野さん)
セレクトクリニック表参道院副院長の金井莉沙さんが続ける。
「国内の工場で生産が行われていて、医薬品と同じレベルの品質管理の基準である『GMPマーク』が付いているものを選びましょう。推奨量が配合されているかも確認してください」
過度なあおりや宣伝文句に注意
過剰な効果をうたうサプリにも注意が必要だ。
「私が国立がん研究センターで働いていた頃、『がんが治る』とうたうサプリをのむ患者さんが少なくありませんでした。サプリは栄養補助や健康維持・増進には役立ちますが医薬品ではないので、当然そんな効果はありません。
また『のむだけでやせる』と宣伝されていたあるサプリでは、国の未承認薬を含む健康食品を使用していて、重篤な健康被害や、死亡者が出た事例もあります」(平井さん)
自分に合うサプリを見つけて、用法、用量を守って長寿につなげよう。
「女性がのんで効果が期待できるサプリ」ランキング
以下、9名の医師と薬剤師に「女性がのんで効果が期待できるサプリ」を最大10個挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点、6位を5点、7位を4点、8位を3点、9位を2点、10位を1点として集計。10点以上の項目をランキング化した。
赤澤純代さん(金沢医科大学総合内科学教授)、大倉萬佐子さん(アイクリニック天神院長)、金井莉沙さん(セレクトクリニック表参道院副院長)、関口由紀さん(女性医療クリニックLUNAグループ理事長)、谷本哲也さん(ナビタスクリニック川崎院長)、八田真理子さん(ジュノ・ヴェスタクリニック八田院長)、日比野佐和子さん(SAWAKO CLINIC×YS統括院長)、平井陽子さん(薬剤師/薬剤師カフェvita(薬剤師管理サプリ販売店)代表)、平澤侑來さん(マイシティクリニック院長)
【1位54点】「エクオール」
「エクオールは細胞内シグナルは異なるが、体内で女性ホルモンと同様の働きを担う。更年期では骨の痛みなどが出ることがあるが、その対策として必須女性ホルモン補充療法よりも改善のエビデンスが豊富」(赤澤さん)
「エクオールは大豆イソフラボンを腸内細菌が代謝することで生成されるが、その産生菌がいない日本人が半数というデータも。検査キットで調べられるため、菌を持っていない場合はサプリで補って」(八田さん)
【2位49点】「EPA・DHA」
「EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸は青魚やアマニ油に多く含まれ、血液をサラサラにして動脈硬化の予防、抗炎症作用もあり関節リウマチにも効果が見込める」(金井さん)
「オメガ3脂肪酸にはさまざまな生活習慣病の原因にもなる細胞の損傷から、老化を促進させる慢性炎症を防ぐ抗炎症作用がある」(平井さん)
「血流改善、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らして血管機能の改善が期待できる」(赤澤さん)
「青魚に豊富な成分のため、魚をあまり食べないならサプリで補うのも選択肢」(谷本さん)
【3位45点】「ビタミンD」
「特にビタミンD3は、カルシウムの吸収を助けるため、骨の健康維持に重要な栄養素。また免疫機能との関連についても多くの研究が行われている」(日比野さん)
「ビタミンDは免疫機能を調整する働きが有名で、眼科の領域ではドライアイの原因にもなるマイボーム腺機能不全との関連も報告されている」(大倉さん)
「ビタミンDは日光に当たる時間が少ない人、魚をあまり食べない人には不足しやすい栄養素」(谷本さん)
【4位34点】「ビタミンC」
「ビタミンCは強力な水溶性抗酸化物質で、細胞内の過剰な活性酸素を除去して病気の原因となりうるDNA損傷などを防ぐ。近年の研究では細胞の寿命を延ばす可能性があるテロメラーゼ活性を高める作用も注目されている」(平井さん)
「ビタミンCは補酵素としてコラーゲンの生成促進、美肌効果のほかにビタミンEの再生を助けるほか、鉄吸収促進を高め、免疫機能の維持にも関与する」(大倉さん)
【4位34点】「亜鉛」
「低亜鉛血症や亜鉛欠乏症が原因で疲れやすい、体が重い、眠れないと感じたり不調が続くようなら採血で調べてみて」(八田さん)
「亜鉛は細胞の分裂や免疫機能の維持に重要なミネラル。年齢とともに弱りやすい血管の保護や脂肪肝の改善にも役立つ」(赤澤さん)
【6位27点】「カルシウム」
「カルシウムは骨の材料となる栄養素で、不足すると骨粗しょう症のリスクが上がる。乳製品や小魚、青菜など食事から摂るのが基本ですが、不足する分はサプリで補って」(谷本さん)
【7位26点】「コエンザイムQ10」
「代謝機能の改善や疲労回復、抗炎症作用による老化の抑制などが期待できる。特に還元型コエンザイムQ10は抗酸化作用が強い」(赤澤さん)
【7位26点】「ルテイン」
「紫外線などの光の刺激から目を保護する。また強い抗酸化作用があり白内障や加齢黄斑変性などの目の老化予防にも。加齢とともに体内では減少するのでサプリで補うのがおすすめ」(関口さん)
【9位17点】「マグネシウム」
「マグネシウムは骨代謝や筋肉、神経機能、血圧や血糖コントロールにもかかわる重要なミネラル。摂りすぎると下痢や腹痛の原因になるので注意が必要」(日比野さん)
【10位16点】「ビタミンB群」
「更年期はエストロゲンの減少により、精神を安定させるセロトニンも減少してしまい、いら立ちや気分の落ち込み、不眠などメンタルの不調が増加。ビタミンB群はセロトニンを増加させ、これらの不調を改善する効果が期待できる」(平井さん)
【11位14点】「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」
「NMNは体内でエネルギー産生にかかわるNAD+という物質の材料になる。NAD3は長寿遺伝子を活性化させ寿命を延ばす可能性があると注目されている」(平澤さん)
【11位14点】「アスタキサンチン」
「アスタキサンチンは鮭や甲殻類などに含まれる赤い色素成分で、同量のビタミンCと比較して6000倍の抗酸化作用が期待できる」(平澤さん)
【11位14点】「ゼアキサンチン」
「ゼアキサンチンは加齢黄斑変性の進行リスクを低下させることが報告されている」(大倉さん)
※女性セブン2026年6月4日号