健康・医療

《老ける人・老けない人の分かれ目》“脳”が老化しやすいのは「新しいことが嫌いな人」「孤独感が強い人」 記憶を引き出す“アウトプット”で老化の進行が緩やかに

孤独感が強い人は脳が老化しやすい(写真/PIXTA)
写真3枚

 どうしたって老化は避けられないが、そのスピードはちょっとしたことの積み重ねで遅くすることも、また逆に加速させてしまうこともある。老いを緩やかにすることなら誰にでも可能なのだ。専門家にその分かれ道について聞いた。【全5回の第4回。第1回から読む

「同じことばかりする人」は脳が老化する

 どういう人の脳が老化するかはさまざまな研究でわかってきている。『増量版 80歳でも脳が老化しない人がやっていること』の著者で、脳科学者の西剛志さんは、まず、「同じことばかりする人」を挙げる。

「40〜80代の約1600人を対象にした日本の研究で、新しいことが嫌いな人はのちに認知機能が下がり、逆にチャレンジが好きな人は認知機能の低下が抑えられました」(西さん・以下同)

 孤独感も脳の大敵だ。

「孤独感が強い人は認知症の発症リスクが2倍になり、死亡リスクも26〜32%ほど高まります」

 ただし交流する人が多ければよいのではない。

「脳の認知には限度があり、交流する人が多いと疲れて逆にストレスになります。腹を割って話せる人が1人いれば、孤独感の解消には充分です」

老化を抑制して健康寿命を延ばす生活習慣
写真3枚

 加齢とともに生じる脳の老化を抑制するには、孤独を避け、新たな挑戦をすることに加え、「昔を思い出す力」が頼りになる。

「過去の記憶を引き出すとき、脳内で記憶を司る海馬が最も活性化します。中高年以降は何かを記憶するインプットより、記憶を引き出すアウトプットの方が脳を刺激して、老化の進行を緩やかにします」

 毎日の生活でとりわけ重要なのは睡眠だ。

「睡眠不足になると、アルツハイマー型認知症の主因といわれるアミロイドβが脳内に蓄積します。さらに睡眠中にリンパ液が開いて脳の老廃物を除去する『グリンパティックシステム』の時間が少なくなり、脳機能が低下して認知症リスクが増します」

 5時間以下の睡眠だと認知症リスクが2倍以上になるとの報告もあるが、寝すぎるのもよくないとされる。

「9時間以上の睡眠が認知症リスクを高めるとの報告もある。睡眠時間はぐっすり眠れたという適度な長さが大切です」

 睡眠の質を高めることも脳の老化抑制に役立つ。

「日中は日光を浴び、就寝の1時間前はスマホなどのブルーライトを遮断することが睡眠の質を高める基本です。体温が下がるときはスムーズに深い睡眠に入りやすいので、就寝の1時間から2時間前に湯船につかり、一時的に体温を上げておくことも質のよい眠りをもたらします」

老化を抑制して健康寿命を延ばす生活習慣
写真3枚

(第5回に続く)

※女性セブン2026年7月2日号