
誰にでも平等に訪れる「死」だからこそ、自分が思うような最期を迎えたいと願う人は多い。さまざまな人生の終い方があるが、どんな憧れの死に方があるのだろうか。
「おれはピンピンコロリが嫌いなんだよ。訪問先で倒れたらそこにいる人が困るだろうし、警察が来て騒ぎになるだろ。満足にお別れもできないからピンピンコロリには反対だな」
舌鋒鋭く語るのは俳優でタレントの毒蝮三太夫さん(90才)だ。芸歴78年を迎えた現在も「ジジイ! ババア!」の過激トークで笑いを巻き起こす毒蝮さんが毒舌抜きで敬愛するのが、聖路加国際病院名誉院長を務めた日野原重明さん(享年105)だ。
「“マムシさん、あなたは年寄りを笑わせて元気にするのだから名医です”とおだてられたんだ。日野原先生は奥さんを先に亡くしたけど、100才を超えても周りにたくさん人がいてとても幸せそうだった。
先生は生き方も死に方も上手だったとおれは思う。長生きするなら、ああいう死に方が理想的だな」(毒蝮さん・以下同)
生前の日野原さんは「笑顔を大事に」「みずみずしくなりなさい」などさまざまなことを教えてくれた。なかでも毒蝮さんが肝に銘じた言葉は「年を取ったら素直になることがいちばん」。

「素直な年寄りはチャーミングなんだ。先生自身、最初は車いすを嫌っていたけど息子さんの助言で使ってみて“車いすはいいよ。人が親切にしてくれるし、違った目線でモノが見られるから”とチャーミングに語っていた。
そうした素直さがあれば家族にとって助けにもなるし、入院してもみんなが親切にしてくれるよ」
消化機能が衰えても延命治療を拒否し、穏やかに亡くなった日野原さんのように逝きたいと毒蝮さんは願っている。
「人生100年時代、ピンピンコロリも嫌だけど、寝たきりで何年も生かされるのもゴメンだな。長い病気で国の医療費を使って家族の負担が大変になるような闘病生活も望まないし、妻には延命治療はいらないと伝えてある。
最後の10日間くらい意識があって、いろんな人に別れを告げてからガクッと亡くなるのがいちばんいい。なるべく在宅で人に迷惑をかけず、自分が苦しまない死に方をしたいとも思っているんだ」
夫婦ともども90才を超えて、スポーツクラブでは最高齢になった。さすがに人生の終い方を意識はするものの、「いまを楽しもう」という気持ちの方が強いと語る。
「死ぬときにどうのこうのはあまり考えず、いまを楽しく生きることが幸せに死ぬことにつながると思っている。大金があるわけじゃないし紀州のドン・ファンみたいな生活をする気もないけど、色のない年の取り方はしたくないね。とにかくいまを楽しむことが大事と思い、死ではなく生きることを考えて毎日を過ごしているんだよ」
※女性セブン2026年7月9・16日号