最近よく耳にする「抗酸化」という言葉。でも「なんとなく美容や健康によさそう」とぼんやりとした認識の人も多いはず。そこで今回は、「抗酸化作用とは?」というところから、わかりやすく解説。抗酸化作用の高い食べ物、簡単レシピ、市販の抗酸化食品など一気に紹介する。
そもそも酸化って何?
『最強の野菜スープ』(マキノ出版)の著者で、抗がん剤の世界的権威である熊本大学名誉教授の前田浩氏が解説する。
「動脈硬化や糖尿病、高血圧など多くの生活習慣病に密接にかかわっているのが、有害物質である“活性酸素”です。活性酸素は、紫外線や放射線のほか、たばこ、食品添加物など、日常のあらゆるものから発生して細胞や遺伝子を酸化させます。これが、さまざまな病気の原因となるのです。人間は、生きている限り活性酸素の攻撃から逃れることはできません。しかし、ファイトケミカルなど、強い抗酸化作用があるものを摂取すれば、活性酸素の働きを中和して抑えてくれるのです」(前田氏・以下同)
万病に効く抗酸化物質“フィトケミカル”とは?
「野菜には、酸化を防ぐ抗酸化物質が多く含まれています。その種類はさまざまありますが、特に『ファイトケミカル』に注目が集まっています。ファイトとはギリシャ語で“植物”という意味で、ファイトケミカルは植物が紫外線や害虫などから自らを守るために作り出す化学物質の総称のこと。植物の色素や香り、苦味などの成分で、皮や根っこ、種の部分に多く含まれています」
抗酸化作用の高い食べ物は?
抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類、ミネラル類などが挙げられる。
「トマトの赤い成分である『リコピン』や、にんじんやかぼちゃの色素となる『カロテノイド』、玉ねぎの皮に豊富に含まれる『ケルセチン』などが代表的なファイトケミカルの一種。身近な野菜で手軽に摂ることができます」
抗酸化作用によってどんな効果が?
「活性酸素によって細胞が酸化すると、老化も加速するといわれています。本来、人間の体は抗酸化物質を作りだす働きが備わっていますが、この働きは年齢とともに低下してしまう。ファイトケミカルなど抗酸化作用のあるものの力を借りれば、低下した働きを助け、健康で若々しい体を保てます」
→抗酸化作用の強いフィトケミカルの健康効果について詳しくはコチラ
コンビニで買える市販の抗酸化食品
『マヌカハニーアーモンド』(ローソン)
アーモンドをマヌカハニーでコーティングした、香ばしさと自然な甘さを楽しめるおやつ。1袋205kcalと間食には適当なカロリーだ。マヌカハニーは高い抗菌活性力を持つとされ、風邪やインフルエンザの予防にもおすすめ。アーモンドには糖化を防ぎ、老化の敵とされる「AGES」を排出するオレイン酸や、シワ、たるみの原因となる活性酸素を取り除くビタミンEが豊富とあって、最強の“美活”ができるおやつだ。
『濃いアーモンドミルク まろやかプレーン 1L』(筑波乳業)
『濃いアーモンドミルク』は1000mlあたり約80~120粒のアーモンドを使用。一般的なアーモンドミルクの多くはアーモンド含有率が約3%前後なのに対し、『濃いアーモンドミルク』は約8~12%。低糖質なので、糖質制限をしている人にもおすすめ。アーモンドをふんだんに使っていてもコレステロールは0。
『素焼きくるみ』(ローソン)
カリフォルニア産のくるみを、塩や油を使用せず香ばしくロースト。1袋32gはいって240cal。くるみにはさびにくい若々しい体を保つ働きがある抗酸化物質がたくさん含まれている。さらに、たんぱく質や食物繊維も豊富に含み、糖質や脂質、コレステロールの吸収を緩やかにする作用も期待できる。
『カゴメ トマトジュース 食塩無添加200ml』(カゴメ)
リコピンとGABAが含まれる食塩無添加のトマトジュース。リコピンには血中HDL(善玉)コレステロールを増やす機能があり、GABAには高めの血圧を下げる機能がある。200mlあたり40kcal。
『おいしい玄米にぎり シーチキンマヨネーズ』(ローソン)
白米と比較しても、食物繊維は6倍、ビタミンEは12倍、ミネラルも数倍と言われる玄米が手軽においしく食べられるおにぎり。シーチキンマヨネーズは、アクセントに金ごまが添えられているが、金ごまは、風味豊かにするだけでなく、若返り成分である抗酸化物質のビタミンEや中性脂肪やコレステロールを減らす不飽和脂肪酸などを含むダイエット向きの優秀食材だ。1つ238kcal。
『もち麦もっちり!梅こんぶおむすび』(セブン-イレブン)
レタス1個分の食物繊維を含み、1つ166kcalと、おにぎりの中ではカロリー抑えめ。もち麦には豊富な食物繊維と、血糖値の上昇を抑える働きのある成分が含まれていることから、健康食材として注目を浴びている。またポリフェノールを含むため、アンチエイジング効果も期待できる。
『チョコレート効果カカオ72%』(明治)
『チョコレート効果カカオ72%』など、カカオマスを40%以上含有するダークチョコレートには、“体のサビ”と言われる活性酸素の除去、動脈硬化の予防などに効果があるとされるポリフェノールが、抗酸化食品として知られる赤ワインやりんごの4倍以上も含まれるという。
※商品の入れ替えや店舗によっては商品の取り扱いのない場合もあります。
撮影/黒石あみ
簡単!抗酸化作用のある食べ物のレシピ5選
抗酸化力は2倍に!”最強のシミ消しスープ”「トマトとあさりのスープ」 レシピ
管理栄養士の菊池真由子さんが、食材による“美肌作り”の秘訣を教えてくれた。トマトだけでもシミに有効とのことだが、もう1つ食材をプラスすることで、抗酸化力はさらに高まるという。
「ズバリ! あさりです。あさりには、活性酸素を退治する酵素の素となる鉄分が豊富に含まれています。酵素が元気に働けば、活性酸素はスムーズに除去される。トマトとタッグを組めば最強です。さらに、殻付きより水煮缶がベター。殻付きは重量のわりに身が少ないので、十分な鉄分を摂るなら身がたっぷりはいった水煮缶を利用しましょう」(菊池さん)
《作り方》(2人分)
【1】鍋にオリーブ油大さじと細切りにしたベーコン2~3枚を入れて炒める。
【2】【1】に、トマトの水煮缶1缶(約400g)、あさりの水煮缶(約60g)、水1/2カップ、コンソメ(顆粒)1個を入れ、中火で2~3分煮る。仕上げに、塩こしょう少量で味を調える。
「オリーブ油とベーコンの脂にリコピンの成分が溶け出すので、抗酸化力がアップします。また、スープなら多めのあさりも食べやすい。シミを消したい、増やしたくない人は、ぜひトライしてみて!」(菊池さん)
血液サラサラ「まぐろのガーリックソテー」レシピ
《材料》
まぐろ…200g 塩・こしょう…各少量 にんにく…1片 赤ワイン…大さじ4 しょうゆ…大さじ1 バター…10g サラダ油…大さじ1 ハーブ…適量
《作り方》
【1】まぐろに塩・こしょうを振る。にんにくは薄切りに。
【2】フライパンに油、にんにくを入れて弱火にかけ、こんがり焼いて取り出す。
【3】まぐろを入れて火を強めてさっと焼き、裏返してふたをして2~3分蒸し焼きにする。カットして皿に盛り、【2】をのせる。
【4】フライパンに赤ワイン、しょうゆを入れてひと煮立ちさせたらバターを加えて溶かし、【3】にかけ、お好みでハーブを添える。
まぐろ…特に強い抗酸化力を持つ成分カルノシンが豊富。カルノシンは鶏肉やうなぎにも多い。
にんにく…においの元であるアリシンが、細胞の老化を予防。疲労回復や血液をサラサラにする効果も。
撮影/奥村暢欣 料理・レシピ制作/清水加奈子
→医師が教えるその他の抗酸化力の高い食材を使ったレシピはコチラ
肌の老化に負けない!“アボカドの「和カモレ」レシピ
「アボカドは、『世界一栄養価の高い食材』としてギネスにも認定されているほどで、“食べる美容液”とも言われています。アボカドには、強力な抗酸化作用で肌の老化を防ぐ働きがあるビタミンEや、肌にハリを与えるコラーゲンの生成を促すビタミンCなど、美肌に重要なビタミンが豊富に含まれているので、美肌効果は大いに期待できます」と語るのは、アスリートフードマイスター・料理研究家の市橋有里さん。市橋さんが考案した“美肌レシピ”を紹介!
《材料》(2人分)
アボカド…1個 赤玉ねぎ…1/8個 サーモン…100g 小ねぎ…大さじ1.5 白だし…大さじ1.5 レモン汁…適量 塩、こしょう、オリーブオイル、くるみ(お好みで)
《作り方》
【1】 赤玉ねぎはみじん切り、サーモンは1cm角に切り、小ねぎは小口切りにしておく。サーモンに塩こしょうをして下味をつける。
【2】 半分に切ったアボカドの種を取り、皮をむいてレモン汁をまわしかけ、ザク切りにする。
【3】 ボウルに【1】【2】を入れて、白だし、オリーブオイルで味を調える。
マスタードがアクセント!『ビーフマスタードスープ』レシピ
野菜ソムリエプロのAtsushiさんが考案する、高たんぱく質で低糖質、野菜たっぷりのスープは、ダイエットに最適と話題。そのスープレシピが掲載された『#モデルが撮影前に飲んでいる 魔法の即ヤセ低糖質スープ』(宝島社)に注目が集まる。
イノシン酸(牛肉)、グルタミン酸(玉ねぎ)、グアニル酸(ドライトマト)を合わせることでうま味がアップ! 抗酸化作用でアンチエンジングに◎の粒マスタードがアクセントなスープ。パプリカは、カリウムが豊富でむくみスッキリ。豊富に含まれるビタミンCで美肌効果、βカロテンでアンチエンジングが期待できる。
《材料》(3杯分)
薄切り牛肉(赤身)…200g 玉ねぎ…小1個 パプリカ…1個 なす…小2本 にんにく…2片 ドライトマト…40g 固形コンソメスープの素…2個 酒…大さじ2 粒マスタード…大さじ2 塩…少々 オリーブオイル…大さじ1 水…600ml
《基本ルール》
・小さじ1=5ml(cc)、大さじ1=15ml(cc)
・材料の野菜の皮はよく洗い、基本的に皮ごと使う。必要であれば下処理してから調理を。
《作り方》
【1】300mlの水でドライトマトを戻す。
【2】鍋にオリーブオイルを中火で熱し、みじん切りにしたにんにくを炒める。にんにくの香りがたったら、みじん切りにした玉ねぎ、牛肉の順に炒める。
【3】全体に火が通ったら、ドライトマトを戻し汁ごと、残りの水を加える。ひと煮立ちしたら、細切りにしたパプリカ、なすを加え、あくを取りながら3分ほど煮る。
【4】固形コンソメスープの素、酒、塩、粒マスタードを加えて味を調える。
写真/『#モデルが撮影前に飲んでいる 魔法の即ヤセ低糖質スープ』(宝島社)より
→魔法の即ヤセ低糖質スープレシピ「ビーフマスタードスープ」の詳細はコチラ
落花生が活躍!「かぼちゃと落花生のほっくりサラダ」レシピ
「ABC HEALTH LABO(エービーシー ヘルス ラボ)」に、かぼちゃのレシピを教えてもらった。
かぼちゃの栄養価の高さは野菜でもトップクラス。中でも「β-カロテン」と「ビタミンE」が豊富で、β-カロテンは免疫力を高め、ビタミンEは血行を促進する効果があるから、冷え改善や風邪予防にぴったり。
落花生には「ビタミンE」や「ビオチン」が豊富で、髪や皮膚の健康を保つのに役立つ。また、抗酸化作用を持つ「サポニン」を含み、中性脂肪を減らしたり、悪玉コレステロールを減らしたりする効果も期待できるとか。
《材料》(2人分)
かぼちゃ(皮つき、1〜2㎝角)…150g 茹で落花生(殻、皮をむく)…60g クリームチーズ(1cm角)…40g
【A】マヨネーズ…大さじ1 ヨーグルト…大さじ1 塩…少々 ハチミツ…小さじ1/2
《下準備》
・かぼちゃは、種、ワタを除いておく
《作り方》
【1】かぼちゃを耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジ(500W)で3分ほど加熱する。
【2】ボウルに【1】を入れ、熱いうちにつぶし、【A】を加えて混ぜ合わせる。
【3】【2】に落花生、クリームチーズを加えて混ぜ合わせる。
【4】器に盛りつける。
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