長かった自粛生活による活動量の低下や間食が増えたことで、お腹周りに脂肪が…という声は多い。増えた体重と大きくなった胃は早めに元通りにしたいところ。
食べすぎを避ける、理想的な食べ方は?
最近は、プチ断食などのファスティングが人気だが、食べすぎ傾向にある私たちは、1日何食、どう食べるのがいいのだろうか?
管理栄養士の篠原絵里佳さんは、体内時計にしたがって生体リズムを整えるには1日3食が理想的という。
「ダイエットのために、朝食を抜いて1日2食にする人がいますが、実は、空腹感が強すぎてドカ食いしてしまったり、血糖値が急上昇しやすくなって無性に甘いものや甘い飲み物を口にしやすい体質になることがあるんです。むやみに食事を抜くダイエットを繰り返していると代謝が落ち、太りやすくやせにくい体になってしまうので、注意が必要です」(篠原さん・以下同)
◆糖質を摂らないと間食しがち
また、最近は糖質制限ダイエットをする人が多いが、糖質をしっかり摂らないと、間食に走りやすいという。
「重要なのは偏らず、バランスのよい食事を、一汁三菜をベースに規則正しく摂ること。1日3食を、食べすぎない量で、よく噛んで摂ることです」
またダイエット外来専門医の工藤孝文さんは、「やせるためや胃を小さくするために、プチ断食をする人もいますが、1日3食規則正しく、毎食適量を食べていれば、特別なことをする必要はない」と言う。
猛烈な空腹でも食べずにスルーする秘策は?
食べ物が胃にとどまって消化される時間は約2~3時間。肉や揚げものなど、脂肪が多い食べ物になると約4~5時間かかる。これらの消化速度を考慮すると、食事間隔は4~5時間空けるのが適当だ。桜美林大学リベラルアーツ学群教授で臨床発達心理士の山口創さんは、こうアドバイスする。
「食事をする前に“お腹が減ったな~”と、感じることが大切。1回の食事で満腹になるまで食べず、腹八分目に抑えることがポイントです」(山口さん・以下同)
「食べる量を減らすと、食事と食事の間にお腹がグーグー鳴りますが、ここで間食をしたら太る一方。空腹感に襲われてもがまんしてやり過ごしていると、それが日常となり、次第に苦にならなくなります」
◆マインドフルネス(瞑想)で自律神経を整える
そこで、知っておきたいのが、食べずにスルーする術だ。
「空腹に耐え、空腹感を紛らわせる心理学的方法としては、マインドフルネス(瞑想)が有効です。瞑想することで自律神経のバランスが整います。すると、副交感神経が優位になってリラックスでき、空腹感も徐々に和らぎます」
具体的には、お茶を飲むときにカップを手にとり、よく眺めてから、ゆっくり口元に持っていき、香りを楽しんでから飲む。食事もゆっくり噛んで、味わいながら食べるなど、自分の感覚や行動に意識を集中すると、お腹がすいたというストレスも軽減され、空腹がさほど気にならなくなるのです」
ほかに、散歩をする、窓を開けて外の空気を吸う、空腹以上に優先すべき何かに集中する(仕事や趣味など)、腹式呼吸(下記「口すぼめ呼吸」を参照)を行うなどでも、意識をそらすことができる。
食欲を抑えるためのマッサージ&香り
また、漢方の視点では「飢点」などの耳ツボをはじめ、食欲を抑えるツボへのマッサージが手軽だ。
◆グレープフルーツの香りで食欲抑制
さらに、アロマテラピーの世界では、グレープフルーツの香りに食欲抑制作用があるといわれている。噛むことで空腹感を抑えられるガムを使うのも、満腹中枢を刺激するのにいい方法だ。
呼吸法で空腹によるイライラを抑える方法
東洋医学・自然療法・心理療法に西洋医学を併せて診療する「みうらクリニック」(大阪府)院長で坐禅断食指導者の三浦直樹さんが勧めるのが、空腹によるイライラを抑える呼吸法だ。
◆よく噛んで食べるのがポイント
「私自身も実践してきましたが、よく噛んで食べることがポイントです。私の場合は一口につき50回噛みますが、30回でも充分。よく噛めば早食いやドカ食いを防げます。また、空腹でイライラする場合は「口すぼめ呼吸」(イラスト参照)がおすすめ。
腹式呼吸をしながら、息を吸うときは、そばをすするイメージで口をすぼめて、できるだけゆっくり吸います。吐くときは、口から細い糸を出しているようなイメージで、ゆっくり息を吐く。このように、ゆっくり呼吸をすることで、精神が安定し、自然と食べたい衝動も抑えられます」
イラスト/たばやん
※女性セブン2020年6月25日号
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