「老後資金は2000万円必要」などという話を聞いても、貯金はないし、年金も当てにできないと不安になる人も多いはず。そこで、6年間で1000万円貯めたという、時短節約家のくぅちゃんさんに、誰でも真似できる「節約思考」について教えてもらいました。
浪費家の看護師から節約主婦のカリスマに
その節約術を披露したInstagramが人気となりフォロワーは、11.6万人(2021年10月現在)、テレビや雑誌でも時短節約家として活躍中のくぅちゃんさんですが、以前は浪費家だったそうです。
「もともと看護師で、結婚後も続けていたので『働けば稼げる』という頭があり、まったく節約には興味がなかったんです。節約するくらいなら働けばいいという考えで(笑い)。でも、出産して子供優先で働くようになったらお給料も減っていき、生活を見直してお金を貯めないといけないなと。
そんなときに雑誌で、節約しながらも素敵に暮らす方の記事を見て、これだったら私もやってみたいと思ったんです。それから素敵だなと思った節約術をいろいろ試してみるようになりました」(くぅちゃんさん・以下同)
家計簿をつけて毎月の出費額を把握することからスタート
今では節約歴8年になるくぅちゃんさんですが、お金の管理が大の苦手だったため、まずは自分がいくら使っているのかを知ることから始めたそうです。
「当時は自分が月にいくら使っているのかも知らなかったので、出費を把握するために家計簿をつけ始めました。家計簿も細かすぎると続かないので、日にちと店名と金額だけを書くざっくりしたものです。そのうち、買い物の回数を減らせば、家計簿に記入する回数が減ると楽だなと思って、買い物はなるべくまとめて行くようになりました。
だから、私の家計簿は3日に1回、2分で書き終えるくらい簡単なものです」
不要なカードは解約。少額でも不必要な出費を減らす
家計を可視化することは大事なこと。実は知らず知らずのうちに支払っている不必要な出費も多いと言います。
「例えば、使っていないクレジットカードの年会費やスマホ、ブログのストレージ容量を増やすための月会費300円、ライブに行けていないアーティストのファンクラブの会費3000円とか。気づかないうちに引き落とされているものも結構あります。月額がかかるサブスクは、なくても困らないものを多いので見直すのはおすすめです。
いきなり大きな節約をするとダイエットと同じでリバウンドしちゃいますが、これくらいなら簡単にできます」
大きなウエートを占める食費。食費を制するものは節約を制する
あわせて行ったのが食費の節約。当時はまだ子供も小さくて、いろいろなものを用意していたこともあり月9万円くらい使っていたそうです。たいていの家庭で、食費は生活費の中でも大きなウエートをしめるので、上手に節約すると効果も絶大だといいます。
「夫婦でお酒が好きなので毎晩、ビールや缶チューハイで晩酌していたら、酒代が月に1万5000円くらいになることも。これはマズイと、焼酎を瓶で買って、炭酸で割って飲むようにしました。最初はお徳用パックのお肉や特売品の野菜をまとめ買いして、使い切れずに無駄にしてしまうなど失敗も多かったです。
でも、家にある食材を見て1週間分の献立を考え、足りないものを買い足すようにしたことで、食品ロスと食費を抑えられるようになりました」
節約はメリハリが大事。本当に欲しいものは高額でも買って心を満たす
「これはいいな」「真似してみたい」と思う節約術を見つけると、積極的にトライし、合わないものはどんどんやめて試行錯誤を繰り返し、現在のスタイルに行き着いたという、くぅちゃんさんですが、途中でくじけそうになったことはないのでしょうか。
「食費を無理に削ったり、欲しいものをひたすら我慢していると、ストレスが爆発して安物買いに走ることもありました。それで、お金は貯めることも大事だけど、使うことも大事なんだと気付きました。たいして欲しくないものをちょこちょこ買うのはダメですが、本当に欲しいものは、手にするたびに心を満たてくれます。
節約ストレスを消してくれるので、高くても本当に欲しいものは、おこづかいを貯めて買うようにしています。心を満たすと節約にも張り合いが出ますよ」
「私はできる」と自分で自分を褒めてモチベーションアップ
さらに、くじけそうになったときこそ、「自分を褒めてモチベーションを上げることも節約には大切」だと、くぅちゃんさんは言います。
「最初の頃は節約がつらいと思うことありましたが、どうしてそう思うのか考えてみたら、私は失敗体験がすごく苦手だと気付いたんです。
例えば、毎月10万円貯めるのが目標なのに10万円貯められないとすごく嫌な気持ちになります。だから目標設定を低めにしたり、この月は目標に届かなかったけど2か月合わせたらできたとか、家計簿に年間貯蓄額を書く欄を作って、毎月貯金額が増えているのを視覚的に見られるようにするなど工夫して、『私できるじゃん!』と自分を褒めてモチベーションを上げていました。メンタルをコントロールすると節約はうまくいきます」
節約スタイルが身につくと節約効果が加速。6年で1000万円を達成
試行錯誤を1年くらい続けているうちに、自分に合った節約スタイルができ上がると、節約効果も出て1年間で150万円超を貯めることができたそうです。
「お金に左右されず自分が豊かでいられる最低生活支出のベースが整うと、ストレスに思うこともなくなります。それに、不思議なものでお金が貯まりだすと貯まるスピードがどんどん上がってくるんですよ。私も節約2~3年目から加速して、節約開始から6年で夢の1000万円貯蓄を達成することができました」
わずか6年で夢の大台を達成したくぅちゃんさん。実践している節約思考に学ぶことは多いです。
◆教えてくれたのは:時短節約家・くぅちゃんさん
会社員の夫、2人の息子の4人家族。看護師専門学校を卒業後、看護師に。結婚、出産で2回の転職を経て18年間、看護師を務める。共働きにも関わらずお金がたまらず、子供の教育費など将来に不安を感じ始め、節約に目覚める。節約に手間も時間もかけない「時短節約家」として注目を集め、テレビや雑誌に多数登場。著書に『節約主婦の今すぐ真似できる1000万円貯蓄』(KADOKAWA)がある。Instagram(@megum.
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撮影/黒石あみ 取材・文/青山貴子