最近は1年中見かけるようになったいちごですが、11月頃から出回り始め、5月頃までが旬です。シーズンにはスーパーにもたくさん並ぶいちごを買うときに、おいしいものを見極めるポイントについて、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに聞きました。いちごに含まれる栄養素と美容効果についても教えてもらっています。
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甘くて新鮮ないちごを選ぶテクニック
いちごはビニール栽培などの栽培法が増えたことにより、1年中見かけるようになりましたよね。栽培される量が増えたため、輸出される量も増えていて、世界的にも日本のいちごは注目されています。甘酸っぱくておいしいいちごに、目がない人も多いのではないでしょうか。
へた&つぶつぶが見極めのポイント
おいしいいちごを見極めるときのポイントのひとつは、へたです。へたの葉のような部分が実から浮いて、くるっと丸まって張りがあると元気がある証拠。そういういちごは鮮度が高く、みずみずしいといわれています。さらに、果皮にあるつぶつぶの一粒一粒がくっきりしていてつぶれていないものは鮮度がいいんです。
色が濃く、形のきれいなものを
色濃く赤くなっていると、実が熟している証拠です。色が濃いほどポリフェノールの量も多いです。ポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、老化や病気予防、美肌効果などの働きが期待できます。
形はいちごと聞いて誰もが想像するような、逆三角形のものがいいですよ。きれいな形をしているということは、ストレスなく育っている証拠です。ぼこぼことしたいびつな形のものは、成長過程で栄養分が行き渡らず、うまく熟すことができなかった可能性があります。
いちごには美容効果もたくさん!
いちごに詰まっている栄養素には、美容に関する効果が期待できるものも多くあります。
ビタミンCの量は、実はみかんよりも多い
いちごはビタミンCの宝庫で、ビタミンCが100g中62mgも含まれています。6~7粒ほど食べれば一日の必要なビタミンCを摂取できるんです。ちなみに、同量の可食部で比べたときに、ビタミンCの量が多いと言われる温州みかんにも勝ります。
ビタミンCは免疫力を高めるので、風邪の予防に効果的なのはおなじみですね。さらに、コラーゲンの生成に重要な役割を担っていて、肌の新陳代謝を高めたり、シミやそばかす、ふきでものなどの改善にも役に立ったりと、女性にとってうれしい美容効果も期待できる栄養素なんです。
シミを抑制するポリフェノールの一種・エラグ酸
美肌へ導くいちごの効果はまだあります。ポリフェノールの一種で、エラグ酸という美白成分として知られる栄養は、果物の中でもいちごに多く含まれています。このエラグ酸にはシミを生成する、チロシナーゼという酵素の働きを抑える力があるため、シミを抑制する効果が期待できますよ。
エラグ酸には、美白効果だけでなく、シワを予防する効果があるという研究結果も出ているので、いつまでも若々しくいたい女性にはうれしいことだらけですね。
歯の健康にもいちごがおすすめ
あまり知られていないことですが、いちごには歯にうれしい効果をもたらす栄養素も含まれています。
意外なことに、虫歯予防効果でおなじみのキシリトールをいちごから摂ることができるんです。歯茎からの出血の原因の1つであるビタミンC不足もカバーできるいちごは、歯槽膿漏の予防にも効果的だといえます。
カロリーと糖質が少なめなのも◎
甘い果物のいちごは糖質制限やダイエット中には不向きに思われるかもしれませんが、実はいちごのカロリー・糖質量はフルーツの中では少なめなんです。
100gあたりで比べると、バナナは86kcalで糖質22.5g、皮付きのりんごは61kcalで糖質16.2gですが、いちごは34kcalで糖質8.5gなんです(出典:日本食品標準成分表2020年版〈八訂〉)。なので、ダイエット中にどうしても甘いものがほしくなったときに食べるのもおすすめですよ。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持つ。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導など、多岐にわたって活動している。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ