「今年こそはよい年に」――新年の願いも、コロナ禍が長引く中で切実さが増しています。新年に相応しく、今回は「開運祈願」にぴったりな穴場スポットを、旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介。「長崎県・壱岐」の旅をレポートします。
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博多港から船で1時間!手軽にアクセスできる「壱岐」
知名度はあるものの「壱岐がどんな島か」をイメージできる人は少ないのでは? 私も訪れるまで、ガイドブックの情報も少なく、国境に近いことからアクセスも大変だと思いこんでいました。実際に訪れると、神々が宿るという自然あふれる壱岐は、心身が解放され元気になる魅力あふれる地。コロナ禍で閉塞感があるときだからこそ、パワーチャージにぴったりな旅先です。
そしてアクセスも想像以上に手軽です。「壱岐」は長崎県ですが玄界灘に位置し、博多港からジェットフォイルで約1時間で到着します。道中は揺れを覚悟していましたが、私が乗船したときはほとんど揺れず、電車よりもスムーズ。もちろん、天候によるところもありますが、おおむね穏やかなことが多いそう。
コロナ禍だからこそ訪れたい。壱岐ってどんな島?
壱岐に到着して驚いたのが、車で1周すると約2時間というように大きな島であること。島内は、農業も盛んで稲作も行われており、「壱岐牛」も飼育されています。美味しい魚も獲れるとあって、島の直売所には豊富な食材が並び、しかも驚くほど安価! また集落にはスーパーや飲食店、ホテル、病院などのインフラも整っていて、「島というのを忘れる」ほど便利です。
他方、海沿いには絶景が広がり、各地を旅している私も感動の声をあげっぱなし。景勝地ではダイナミックな景観が楽しめるようにと柵がないところも多く、写真撮影もテンションがあがります。
唯一、観光でネックとなるのが島内の交通です。島に住むかたはマイカー移動がメインのため路線バスは本数が限られます。壱岐交通株式会社のホームページでは、路線バスを利用したモデルコースを紹介、1日1000円のフリーパスも発売しています。コロナの影響で運行などの変更もあり得ますので、最新の状況を確認しておでかけください。
また、宿泊施設に港や観光地への送迎があるかを確認、レンタカーやタクシーなどの活用も検討を。近場の観光には、電動アシスト付き自転車のレンタルが便利です。
2000年の歴史を誇り、なんと150以上もの神社がある
壱岐の歴史は古く、日本最古の歴史書である古事記にも、国生み神話の中で5番目に生まれた「伊伎嶋(壱岐島)」として記されています。また、3世紀に記された中国の歴史書『魏志倭人伝』には「一支國」と記され、長い間、交易の要として重んじられた地でもあります。
古くから人の営みがあった壱岐には神社が多く、神社庁に登録のあるものだけでもその数は150以上にものぼるとか。実際に島内を散策していると、いたるところで鳥居や祠(ほこら)を目にします。
壱岐の2000年以上という歴史を知れば、島をより深く味わえます。「一支國博物館」は、「原の辻遺跡」を臨む高台にあり、壱岐の歴史を五感で学べるおすすめスポット。お子さんや歴史は苦手というかたから、歴史好きなかたまで楽しめます。
1日数時間だけ参道ができる“壱岐のモンサンミッシェル”「小島神社」
数ある神社の中でも、ぜひ訪れたいのが「モンサンミッシェル」にたとえられる「小島神社」。通常は海に浮かぶ島ですが、潮が引く1日に数時間だけ島への参道が現れ、歩いて参拝ができます。その光景は神々しく大切な祈願をするにぴったり。私が訪れたときは急な気温上昇で気嵐(けあらし)も発生し、さらに神秘的な光景が広がっていました。
鳥居をくぐり島へ到着したら島に沿って右回りに裏手へ進みましょう。社へ続く階段の下に、小さな鳥居が現れます。
階段を上りきると社が現れるので、ここで開運を祈願。内海湾の景色も素晴らしいので、お見逃しなく。なお、島全体が神域なので、葉っぱや枝などを含めて、なにも持ち帰ってはいけません。そして足場が悪いので、かならずスニーカーなどでおでかけを。
また、壱岐の神社には宮司さんが常駐していないところも多く、御朱印を授かりたい場合は事前に連絡を入れておくのもお忘れなく。
訪れた日は干潮が朝9時と訪れやすい時間帯でしたが、日によっては夜中ということも。島に渡り参拝をされたいかたは、潮位を確認してから旅計画をするといいでしょう。