健康・医療

青学大フィジカルトレーナーが教えるダイエットの新常識「最寄り駅より1駅遠くから歩く」ではやせない?

1駅分よけいに歩くことの運動効果は?(Ph/Getty Images)
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食事法に運動法、生活習慣の改善まで…。今、健康的にやせるメソッドに多くの注目が集まっています。そうしたなか、これまで“やせられる”と思われていたことが、実は違ったり、最新研究で覆されたりしているそうです。今年の箱根駅伝で優勝した青学大チームのフィジカルトレーナーを務め、著書『やせるのはどっち?』(飛鳥新社)が話題の中野ジェームズ修一さんに、多くの人が勘違いをしがちなダイエットの方法について聞きました。

日常生活で1つだけやるなら、どっち?

やせるための3つの黄金ルールとして、中野さんは「筋肉をつける」「消費カロリーを増やす」「摂取カロリーを減らす」を掲げています。ダイエットの方法でよく見かける“ながら運動のすすめ”など、何かのついでに動く程度の運動では、“黄金ルール”に到達するほど日常生活の活動量は上がらないと指摘します。では、次のうち1つだけ実施するとしたら、どちらがダイエットにより効果的でしょうか?

駅では必ず階段を使うようにすると…(Ph/Getty Images)
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A「最寄り駅より1駅遠くから歩く」、B「駅では必ず階段を使う」

「正解はB『駅では必ず階段を使う』です。日常生活で何かをしながらできるほどの弱い運動を続けていても、残念ながらやせません。体を変えたいならば、筋肉の組織を壊すほどの強い刺激(負荷)を与えられる、強度の高い運動が必要です。

階段を上り下りする際、私たちは一方の脚だけで体重を支えます。この動きは下半身の筋力アップになり、消費カロリーはなんとランニングと同程度です。常にエレベーターやエスカレーターを使っていた人なら、今日から階段生活に切り替えるだけで、確実に体が変わるでしょう」(中野さん・以下同)

もちろん駅だけでなく、歩道橋や、勤め先の会社、住んでいるマンションなどで階段移動をするのもアリです。ではどれくらい、上り下りをするとよいのでしょうか。

「まずはビルの5階に相当する階段を、毎日、上り下りするところから始めましょう。一気にではなく、1日の合計が『5階分』ならOKです。ちなみに、生活圏内すべての場面で階段に切り替えた私のクライアントさんたちは、全員が2か月で体脂肪が落ちて筋肉量がアップし100%やせられました」

ただ、ウォーキングに効果が全くないわけではありません。

「ウォーキングでは筋肉を増やすことはできませんが、歩き方次第で消費カロリーをアップすることはできます。コツは、『散歩』から『運動』に変えること。『何歩歩いたか』より『運動の強度が十分にあるか』にポイントを置きます。

体で感じる『キツさ』が鍵で、手足を大きく動かし、軽く息が弾むスピードでキビキビ歩くと良いでしょう。汗がにじみ、ちょっと苦しいなと感じるくらいの強度で歩き続けます」

ウォーキングにもコツがあるという(Ph/Getty Images)
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体重を量る頻度で正しいのは、どっち?

「食べ物は消化されたあとすぐに体脂肪に変わるわけではないことを、“ダイエットの常識”として心に刻んでください。食べたものはすぐにエネルギー源として使われるので、適正量を食べていればその日のうちに消費されます」と中野さんは言います。では、体重を量る頻度は、ダイエットを考えるなら次のどちらが正しいのでしょうか。

「毎日」量るか、それとも?(Ph/Getty Images)
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A「毎日体重を量る」、B「週に1回体重を量る」

「正解は、B『週に1回体重を量る』です。毎日体重を測る人は、常に変動する数百グラムに敏感になりがちです。よい数値はモチベーションを上げる一方、ネガティブな数値はやる気の低下につながってしまいます。数字を追うのではなく体の変化を見る、という考えにシフトしましょう」

中野さんによると、体脂肪や筋肉が増減し、体が変わるまでには2〜3か月を要するそうです。極端な食事制限で体重を急激に減らしても、結局リバウンドしてしまうのは、脳の恒常性という機能が働き、体の消費エネルギーを減らしたり食欲をコントロールしたりすることで、元の体重に戻そうとするから。

「私たちトレーナーが、極端な食事制限で短期間によって体重を落とす方法をすすめない理由はここにあります。食事を戻したとたん、元の体重にリバウンドするのです」

中野さんが推奨する、リバウンドしにくい減量ペースは1か月にマイナス1〜1.5kg程度(もとの体重が100kgに近いなど非常に重い場合は異なる)。長い年月をかけて蓄積した体脂肪は、じっくりコツコツと燃やしていくのが、ダイエットの一番の近道だそうです。

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