自身の生前整理の一環として、考えておきたい葬儀費用。数百万円単位のお金がかかることもありますが、自分の葬儀に高いお金をかけるよりも残された家族に有益な使い方をしてほしいと思っている人も多いと思います。そこで、お金のプロフェッショナルである節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、葬儀費用にまつわる知識を教えてもらいました。
* * *
葬儀費用を積み立てできる互助会
葬儀費用に充てるべく死亡保険への加入を検討するのも一手ではありますが、私のおすすめは冠婚葬祭互助会です。
保険と互助会の違い
冠婚葬祭互助会は一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が運営しているもので、毎月一定額の掛金(1000~5000円程度であることが多い)を払い込むことで、まとまったお金が必要になる冠婚葬祭に備えるシステムです。
そう聞くと積み立てや定期の保険と変わらない印象を受けますが、互助会は保険のように積み立てた金額以上のお金が戻ってきたり、満期でお金が下りてきたりするものではありません。
お金を受け取る代わりに、互助会が所有する会場や設備、衣装などのサービスを会員価格で受けることができるのです。会員価格は一般価格の3分の2から半額ほど割引されるケースがほとんどなので、会場や設備にこだわりがなければかなりお得になると考えていいでしょう。
冠婚葬祭のイベント全般に対応
経済産業省が管轄している冠婚葬祭互助会はほとんどの市町村にありますが、各社は地域の習慣や風習などを勘案しているので、全国で画一的なサービスではないことも安心です。加入者の利便を考えて契約金額やサービスの内容が異なる複数のコースを用意しているので、自分にあったものを家族と相談して選びましょう。
また、冠婚葬祭に対するサービスなので、葬式以外に結婚式や七五三などにも使うことができます。遠方へ転居する場合も申し出をすれば、全互協加盟の互助会間で移籍することができるので、契約は無駄になりません。
ただ、積み立てた金額だけですべてを賄えるとは限りません。プランが限られていることが多いため、希望プランで行うため追加出費が必要になるケースもあります。契約する前にどんなプランがあるか確認しておきましょう。また、解約する場合の解約手数料を事前に確認しておくこともおすすめします。
健康保険(職域)や国民健康保険にも補助金支給の制度がある
健康保険(職域)や国民健康保険にも、埋葬料または葬儀費の補助金支給の制度が用意されています。埋葬費の支給には、告別式など葬祭をとり行った日の翌日から2年以内に申請する必要があります。
健康保険(職域)や国民健康保険で手続きや支給内容が異なるので、ご自身が加入しているものを必ず確認して、必要な手続きについて事前に家族などに伝えておきましょう。
費用を抑えるには規模を小さくする方法も
コロナ禍ということもあり、近年は家族葬など小規模のお葬式も人気です。規模が小さい分、予算も少額で済みます。どのような内容の葬式にするかは、ご家族含めてご希望で決めるべきですが、一つの候補としておすすめします。
なかなか話しづらいテーマではありますが、生前整理として家族と相談する時間を作ってみてはいかがでしょうか?
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/吉田可奈