健康・医療

夏は汗の肌トラブルに注意!医師が教える、かぶれ・かゆみをしずめる食材&漢方薬

汗を拭く女性
汗が原因の肌トラブルのケア方法を皮膚科医がレクチャー
写真7枚

汗がつきものの夏は、肌トラブルに悩む人も多い季節です。そこで、医師で薬剤師の金城里美さんに、なぜ汗で肌トラブルが起こるのか、また、肌トラブルの予防につながる食材や漢方薬を教えてもらいました。

* * *

汗による肌トラブル! 症状と原因をチェック

汗は困りものというイメージがある一方、蒸発するときに体内の熱を取り去って体温を調節してくれる働きもあります。本来、体に必要な機能ですが、なぜ肌トラブルが起こってしまうのでしょうか?

二の腕を触る人
夏の肌トラブルの原因は?
写真7枚

あせも

汗は肌にある汗管(かんかん)という器官から排出されます。大量に汗をかき、汗管(かんかん)から汗がスムーズに排出できなくなると、汗管が詰まって肌内部に汗がたまってしまうことがあります。肌内部にたまった汗は炎症やかゆみを引き起こします。それがいわゆる「あせも(汗疹)」です。

あせもは、首、ひざ・ひじの裏、脇の下など、汗が多く出やすいところによくでき、かゆみのある赤いぶつぶつが発生するのが特徴です。

かぶれ

汗には塩分やアンモニアなどの成分が少量含まれています。このような汗の成分が肌に刺激を与えることで肌がかぶれてしまうことがあります。それがいわゆる「汗かぶれ(汗による接触皮膚炎)」です。汗をかいた部位が全体的に赤くなり、かゆみを伴うのが特徴です。

湿疹

あせもやかぶれを繰り返すうちに赤みやかゆみをともなう湿疹となり、症状が慢性化してしまうことがあります。また、汗によってふやけた肌に衣服がこすれて慢性化することもあります。慢性化してしまうと治りにくくなり、跡も残りやすくなるため、汗をかく時期になったら予防と対策をすることが大切です。

汗による肌トラブルを予防! 夏の肌を守るおすすめ栄養素&食材

汗による肌トラブルを内側から予防するには、肌の健康を保つ食べ物やターンオーバーを促す食べ物を取り入れることが有効です。

たんぱく質

肌を構成する主成分はたんぱく質です。肌の弾力を保つコラーゲンもたんぱく質でできています。そのため、たんぱく質を摂ることは健康な肌を保つためには欠かせません。

冷やっこ
肌の主成分のたんぱく質を積極的に摂るのが◎。豆腐など大豆製品には豊富
写真7枚

たんぱく質は20種類のアミノ酸からできており、そのうち9種類は体内で作ることができないため(必須アミノ酸)、食事からの摂取が不可欠になります。たんぱく質は肉、魚、卵、乳製品、大豆・大豆製品などに多く含まれています。

ビタミンC

肌によいとされるビタミン類のなかでも、ビタミンCは肌のターンオーバー(肌の代謝)を正常化させる働きや、肌のメラニン色素の合成を抑えて肌の色素沈着やシミを改善させる働き、コラーゲンの合成を助ける働きなどがあるといわれています。

夏野菜のプレート
ビタミン群の中でも肌に欠かせないビタミンC。パプリカに多く含まれている
写真7枚

ビタミンCは、ブロッコリー、パプリカ、ほうれん草などの野菜類や、キウイ、レモン、いちご、オレンジなどの果物類に多く含まれています。

亜鉛

亜鉛は細胞の増殖や分裂を助ける働きがあり、肌の正常なターンオーバーに必要な成分です。また、亜鉛が不足すると肌の湿疹やかゆみが起こりやすくなるといわれています。

岩牡蠣
牡蠣は亜鉛を多く含む食材
写真7枚

亜鉛は、牡蠣、ほたて、たらこ、肉類(牛、豚、鶏)、卵、牛乳、チーズ、納豆、ナッツ類など、多くの食材に含まれています。そのため、通常の食生活では不足することはあまりありません。しかし、動物性の食品をあまり摂らない人、加工食品やレトルト食品をメインに食べている人など、食事のバランスに偏りがある場合は不足することがあるので注意が必要です。

夏の肌トラブルには漢方によるケアもおすすめ

肌トラブルをはじめとする不調には、体質や肌質が関わっていることもあります。漢方薬は心身全体に作用し、体質や肌質をよい方向に導きます。また、自分に合ったものを毎日のむだけと手間がかからず気軽に始められるのがメリットです。

いろいろな生薬
肌トラブルに効果的な漢方薬を紹介
写真7枚

汗の肌トラブルに漢方薬を取り入れる場合は、皮膚の水の代謝をよくしたり、皮膚を潤して乾燥を防いだり、炎症やかゆみを抑えたりするものを選びます。また、血流をよくする漢方薬を服用すると、栄養が肌にしっかり届くので、シミなどの改善にもつながります。

汗による肌トラブルがある人におすすめの漢方薬

・消風散(しょうふうさん)

消風散は、体の表面(肌)を侵す病因となる「風(ふう)」を消し去ることで、肌トラブルを改善させる効果が期待できます。肌のかゆみ、分泌物が多くじゅくじゅくして痂皮(かひ)があり、夏に悪化する傾向がある人に用いられます。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

体の中に「熱」が停滞すると、皮膚をはじめさまざまな部位に炎症を起こします。黄連解毒湯は、体を冷やして熱をとり、炎症をしずめる効果が期待できます。のぼせ気味で顔色が赤く、いらいらして落ち着かず、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみのある人に処方されます。

漢方薬を使う際の注意点

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こる場合もあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:皮膚科医・金城里美さん

皮膚科医の金城里美さん
皮膚科医の金城里美さん
写真7枚

かねしろ・さとみ。皮膚科医。薬剤師。東京大学薬学部卒業後、医師を目指して、東京医科歯科大学医学部に入学。体、精神とも関わって多様に現れる皮膚の病態に興味を持ち、皮膚科医の道を選ぶ。卒業後、大学病院、総合病院、クリニックでの皮膚科勤務を経て、一般皮膚科から美容皮膚科まで皮膚科領域の診療を幅広く行う。
現在、総合病院の皮膚科常勤医として勤務。今までの経験をいかし 、「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで情報発信している。

●夏の睡眠を改善!寝苦しさで熟睡できない人におすすめの食材&漢方薬

●夏の不快なべたつき・テカリ・化粧崩れをケア!皮膚科医が教える肌悩みケア食材と&漢方薬

関連キーワード