猫背は気になっているけれど、今の姿勢のままでもラクだからなかなか改善できないと思ってはいませんか? けれど、ラクだと思いこんでいるだけで実は体が悲鳴を上げている状態かもしれません。5万人を施術した整体師で『きれいな姿勢に生まれ変わる ねこ背伸ばし』(アスコム)を上梓した整体師の片平悦子さんが解説する猫背の原因や改善方法を紹介します。
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猫背の姿勢は本当はラクではない
背中を丸めているときが一番ラクで、背骨をまっすぐに伸ばして背筋をピンと張るのはしんどいと、猫背の人は思っているかもしれません。けれど、とても残念ですが、背中を丸めた猫背の姿勢がラクというのは、気持ちがだらけてラクになったような気がしているだけで、体はきつくて悲鳴を上げています。
猫背になると呼吸も内臓も苦しいことに
正しい姿勢のときは、背骨がゆるやかなカーブを描いています。一方で、猫背になっていると、顎が上がり、首の骨が前に出て、骨と骨の間がつぶれてしまいます。横隔膜も、猫背のときは前下がりになって骨盤との間にあるスペースが狭くなり、結果的に呼吸がしにくい体になっているのです。
この状態では、息がしづらいだけでなく、胃や腎臓、肝臓がぎゅうぎゅう詰めの状態になります。これでは、内臓が正しい働きをできません。腸や子宮、卵巣といった器官も同様です。
猫背の原因は背骨ではなく骨盤
骨盤もへそも正面を向いた正しい姿勢と猫背とを比べてみると、猫背は骨盤が倒れ、へそが上を向きます。実はこの骨盤が後傾した状態が、諸悪の根源なんです。
骨盤が後ろに倒れてしまい、それにつられるように背骨がゆがんで丸くなり、そのバランスを取ろうして顎が前に突き出て、両肩が内側に入り込んでしまうのです。こうして、猫背ができあがります。そもそもの原因は骨盤の傾きにあったんです。
正しい姿勢が体にとってラクな姿勢
ですから、猫背を治そうと背骨だけをまっすぐにしても、根本の骨盤の傾きを改善しなければ、無理に背筋を伸ばそうとして体は疲れてしまいます。それどころか、バランスを取ろうとしてますます体を痛めることだってあります。
骨盤をすっと立てた姿勢になれば、内臓の位置も整い、呼吸が自然にできるので、体にとっては一番ラクなんです。この一番ラクな姿勢を手に入れるためには、背骨や背筋ではなく、これまでお話ししたとおり、骨盤がカギになります。