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愛犬とのドライブ、慣れてない犬を連れて行くなら事前にやるべき3ステップのトレーニングを獣医師が解説

車に乗る犬
愛犬とのドライブ、慣れてない犬を連れて行くときは要注意!(Ph/イメージマート)
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秋の行楽シーズン。愛犬と一緒にマイカーやレンタカーで出かける計画を立てているかたもいるのでは? 今回は犬とのドライブで、飼い主さんがするべき準備、車酔い対策などについて、獣医師の山本昌彦さんにうかがいました。

遠出の前にまずはトレーニングを

「犬と一緒に車で旅行に行くこと自体は問題ありません」と山本さん。犬は飼い主さんと一緒にいるのが大好きな子がほとんど。初めての場所に行くハードルも猫ほど高くないとされています。“移動が大変だからお留守番”より、“ちょっと頑張って一緒に旅行”のほうが、多くの犬にとってハッピーな選択となるようです。

「ただし、いきなり何時間ものドライブにくり出すのは避けたほうが無難です。必ず、トレーニングをしてから長距離ドライブに臨みましょう」と山本さんは言います。

「自動車の中は、エンジンの音や振動、ガソリンや芳香剤のニオイなど、犬にとって違和感だらけの環境です。特に、屋外で飼っている犬にとっては狭さもストレスの原因になります。遠出をするならその前に、しっかり時間をかけて、自動車内の環境や車に乗ることへの犬の抵抗感を減らしていきましょう」(山本さん・以下同)

3ステップで行うトレーニングとは?

トレーニングはおよそ3段階に分けて行うといいそうです。

車に乗る犬
トレーニングは3ステップで(Ph/イメージマート)
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「ステップ1は、エンジンはかけずにただ車内に犬を連れて入る。狭さやニオイに慣れてもらいます。ステップ2は、停車したままエンジンをかける。音や振動を不快がる犬もいるので、様子を見ながら慣らしましょう。ステップ3はいよいよ走行。近所へのちょっとしたドライブを試します。近所へのお出かけを繰り返し、短いドライブに慣れてから長いドライブに挑戦すれば、犬もパニックにならず、大きなトラブルは防げるはずです」

近所へのお出かけでは、犬が車酔いしやすいほうかどうかを観察しておくことも重要。車内で落ち着きがなく、しきりに鳴いたり、何度もあくびをしたり、呼吸が荒くなったりする犬は車酔いしている可能性が。ひどくなると嘔吐したり、ぐったりしてしまいます。

「酔いやすい体質の子もいるので、その場合、長時間のドライブ前には動物病院で酔い止め薬を処方してもらうといいでしょう」

車内では犬をフリーにしないこと

いざ犬を車に乗せるときの注意点や必需品についても聞きました。

「乗せる2~3時間前までに食事は済ませておくのがベター。食べたばかりだと酔いやすくなると思います。水分補給やトイレは乗る直前にできるといいですね。もちろん、乗ってからも水分補給とトイレは大事。水と水飲み用の容器は必携です。トイレは休憩をこまめに取って外で済ませられたら一番ですが、トイレシートも用意しておきましょう」

車に乗る犬
犬がリラックスしやすいために準備を(Ph/イメージマート)
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普段から使っているおもちゃやタオルを

また、普段から使っているおもちゃやタオルを持ち込むと、犬がリラックスしやすいといいます。必要なアイテムを揃え、準備ができたらいよいよドライブへ。車に乗った段階で大切なことは「犬を車内に放さない」ことだと山本さんは話します。

「犬をフリーにさせないほうがよいです。リードをつけて大人(や制御できる人)が短めに持つか、キャリーなどに入った状態で乗せるのがいいと思います。例えば大人が運転していて、後部座席に子供たちと犬だけという状況で、犬を自由にさせていると、子どもがうっかり窓を開けてしまったときに犬が外へ飛び出してしまう事故が起きるかもしれません」

熱中症対策のためにも換気は大事

犬が飛び出さない状況を作れたら、その上で窓を開けて換気をするのは大事なことなのだそうです。熱中症対策や車内独特のニオイの軽減に効果が見込めます。

「車の中、特にキャリーやケージという狭い空間内は温度が上がりやすいので、熱中症を警戒する必要があります。エアコンの風が入りやすい場所にキャリーを置いたり、日よけを使ったりして工夫すると共に、こまめな水分補給、換気、休憩に努めましょう」

なお、キャリーなどを車内に積むときにも注意すべきことがあるそうです。

「キャリーはしっかり固定してください。ガタガタ揺れると、犬のストレスが増えますし、車酔いしやすくなります」

猫も条件によってはドライブもOK!

ところで、「猫の場合は旅行に連れ出さないほうがいい、環境が変わるのはかえってかわいそう」といった説もあります。

猫
猫も条件によってはドライブもOK(Ph/イメージマート)
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犬より迷子のリスクあり

この点に関して山本さんは「どうですかね。犬も猫も個体差があります。トレーニングしてみて大丈夫だったら猫も連れて行ってあげたほうがうれしいかもしれないし、飼い主さんは楽しいでしょうね」と。

「ただし、犬より猫のほうが迷子になるリスクが高いのは確かです。キャリーの中や車内で落ち着いていられる、必要な場面ではリードを付けられる、この2点ぐらいが一緒にドライブできる条件になるでしょうか。なお、猫は狭い場所に簡単に入ってしまうので、車内ではフリーにさせないようにしてください。フリーになっていると、シートの下に潜り込んだり、窓が少しでも空いていると出ていってしまう可能性があります」

正しく準備や対策をして、愛犬や愛猫とのドライブを楽しめるといいですね!

◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん

獣医師・山本昌彦さん
獣医師・山本昌彦さん
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