健康・医療

「歯ブラシだけ」は日本人だけ?歯科医がすすめる“世界基準のオーラルケア”は「複数のアイテム」が基本

世界基準の「オーラルケア」とはどんなもの?(Ph/イメージマート)
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「日本のオーラルケアは独特で、他の国に比べて簡素」──『歯と口を整えるアンチエイジング』(ビジネス社)の著者で歯科医師・歯学博士の生澤右子さんはそう指摘します。毎日歯磨きをしているのに、歯や口の健康が保てずに歯を失う人が多いのは、日頃のオーラルケアに原因があるかもしれません。生澤さんに「世界基準のオーラルケア」について聞きました。

「歯ブラシだけ」では足りない

歯ブラシ以外に、歯間ブラシやフロスなどの歯間清掃具を使っている日本人は少ないと生澤さんは指摘します。

日本と欧米の差

「歯の間を掃除する人は、日本ではかなり少ないことが各種調査でわかっています。ライオン株式会社の調査(2014年)によると、欧米2か国では『念入りにケアをしたい』という人が7割だったのに対し、日本では5割の人が『手軽に済ませたい』と回答し、意識の差が現れました。

“世界基準のオーラルケア”とは、複数のオーラルケアグッズを使ってプラークを取り、増殖した細菌を減らしてリセットすることです。先の調査では、オーラルケアグッズに年間で使うお金が日本では欧米2か国の6割・約5000円でした。日本人はオーラルケアグッズへのこだわり、お金をかける意識や実際の額が低いことが調査で分かっています」

同調査では、歯科医での定期健診の受診回数が欧米2か国では年に1.2回が半数を超えているのに対し、日本は受けていない人が最多で半数との結果も出ているそうです。

歯ブラシ以外の歯間ブラシやフロスなどの歯間清掃具が必須(Ph/photoAC)
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世界基準のオーラルケアで口の健康を

なぜ、日本と欧米でこのような差があるのでしょうか。

「日本でオーラルケアへの意識が低いのは、歯の健康教育をほとんど受けていないこと、歯の大切さをあまり分かっていないことが影響していると考えています。日本では、口の健康づくりのための教育の仕組みそのものが欧米から20年は遅れています。

さらにもう1つ考えられるのは、健康保険での歯の治療が安価であることです。治療費が高いと、お金がかからないように、歯の予防も熱心になります。

“世界基準のオーラルケア”とは『複数のグッズを使うこと』と定義して、歯科医である私がみなさんに使っていただきたいものを紹介します」

究極のオーラルケアとは

生澤さんが「絶対に使っていただきたい」とするグッズは、「染め出し液」です。

染め出し液でプラークを「見える化」

「むし歯予防には歯磨きは欠かせません。ところが、きちんと歯磨きをしていたつもりでも磨き残しが多いと、プラークが原因でむし歯になりやすくなります。染め出し液を使うことによってプラークが分かりやすく染まります。『見える化』することで、しっかり目標を見ながら磨くことができます」

染め出し液はプラークが残っていると歯が赤く染まる。薬局やドラッグストア、歯科医院などで購入できる(Ph/photoAC)
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毎日の「歯間掃除」も重要

続いてフロス、歯間ブラシです。

「歯ブラシだけでは6割しかプラークが取れません。歯ブラシとフロスや歯間ブラシを使うと8割以上のプラークを取ることができます」

歯は形が複雑であるからこそ、歯ブラシだけでなく、歯と歯の間を掃除する道具など複数のオーラルケアグッズを使いきれいにする必要があるのです。

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