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ポータブル電源とセットのソーラーパネル、節電にはなるけれど本体価格は高額…持っておくメリットとは?

EcoFlowの『DELTA 2』とソーラーパネルとテント
ポータブル電源とよくセット販売されているソーラーパネルのメリットを探る(写真はEcoFlowの『DELTA 2』)
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キャンプやバーベキューなどのアウトドアで電源を使いたいときに役立つ、ポータブル電源。停電時には電化製品の給電やスマートフォンの充電にも使え、一家に1台あると大変重宝します。さて、このポータブル電源を買おうとするとき、よくセット販売されているソーラーパネルが気になる人もいるでしょう。ソーラーパネルだけで1台数万円と、決して安くない値段ですが、買うことでいつか“ペイ”できるのでしょうか? 家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらいます。

そもそもポータブル電源とは?

「ポータブル電源とは、簡単にいうとモバイルバッテリーが超大容量になったもの。モバイルバッテリーはコンパクトゆえ、スマホやタブレットなどの充電しかできません。一方、ポータブル電源は、より電力を要する生活家電などにも給電ができます」

近頃はポータブル電源の利便性が注目されるようになり、急速に普及しているとのこと。

EcoFlow『DELTA 2』が置かれた屋外のデッキとテーブルには食べ物や皿などが置かれている
近頃はポータブル電源の利便性が注目されている(写真はEcoFlow『DELTA 2』)
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「かつては、屋外で電源を使いたいときはガソリンを燃料とした発電機が使われていました。ただ、一般家庭で使うには安全性や音、ニオイなどの観点からハードルが高いことがデメリットでした。その点、ポータブル電源は家庭のコンセントにつなげて充電でき、音も静か。こうした利便性が知られるようになり、アウトドアや停電時の備え用として人気が出てきたのです」

実は定期的な充電が必要

ただし、買う前に知っておきたいこともあります。

Jackery『ポータブル電源 1000 Pro』を部屋で充電している様子
定期的な充電が必要になる(写真はJackery『ポータブル電源 1000 Pro』)
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「ポータブル電源は電力の容量によって、重量や値段が異なります。容量が少ないほど手軽になりますが、その分使用できる時間も短くなります。

また、バッテリーを使わなくても自然放電してしまうため、充電して保管しておき、いざ使おうと思ったら充電切れになっている場合も。使わなくても定期的な充電が必要なことは覚えておきましょう」

アウトドアなら500~1000Wh、災害時は1000~1500Wh以上の容量を

さらに、どの程度の電力容量があると、アウトドアや災害時に便利なのか。自分が買うべき製品の電力容量について、目安を持っておくことも大事です。

Jackery『ポータブル電源 1000 Pro』とアウトドアグッズのある部屋
アウトドアなら500~1000Wh、災害時は1000~1500Wh以上の容量を。写真はJackery『ポータブル電源 1000 Pro』
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「ポータブル電源が主に活躍するのは、アウトドアまたは停電時。どちらで使用するかによって、選ぶ容量の目安も変わってきます。

アウトドアで使用する場合、日帰りなら小型のポータブル冷蔵庫や電気毛布、小型家電の使用がメインになると思いますので、500Wh程度あれば充分。1泊程度のキャンプや車中泊であれば、さらに長時間使うことになるので、1000Wh程度あるといいとでしょう。

一方、災害にともなう停電時の場合、炊飯器や電気ケトル、ホットプレートにも使えると便利ですので、1000~1500Wh以上を検討しておくと安心です」

ソーラーパネルは結局“お得”なの?

ただ、電源のない屋外や停電時、もっと容量を増やしたくなる場合もあるかもしれません。そんなときに活躍するのが、別売り、またはセット販売されているソーラーパネル。これを太陽光に当てて本体とつなぐことで、ポータブル電源そのものの容量を増やすことができるのです。

また、平常時においてもメリットが考えられます。ソーラーパネルで充電しながらポータブル電源を使うことで、電力会社から供給されている電気を使う時間が少なくなり、節電につながるのでは、と。

Jackery『ポータブル電源 1000 Pro』とソーラーパネルをセットしたバルコニー
電源のない屋外や停電時、もっと容量を増やしたくなる場合にソーラーパネルが活躍。Jackery『ポータブル電源 1000 Pro』は耐振動・耐衝撃・耐低温設計と安全性が高く、自然放電が少ないなどの特徴がある
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田中さんの見解は――。

「結論から言うと、ソーラーパネルで“節電”は可能です。ただし、総合的に見て“お得”とは言い切れません。

まず、ソーラーパネルでどのくらい充電できるのか。ポータブル電源の容量によっても異なりますが、Jackery(ジャクリ)の例でいうと、ソーラーパネル『Jackery SolarSaga80』(2万9800円)を2枚使えば、1000Whのポータブル電源『Jackeryポータブル電源1000Pro』(14万9800円)を約9時間で充電できるとしています。ただし、これは日光がしっかり当たっている状態で発電できる数字ですので、季節によっては1日で満充電にするのは難しいかもしれません。

上記の1000Whのポータブル電源の満充電にかかる電気代は、JackeryのHPによると、約37円の計算になります。計算式は、ポータブル電源1000Proの満充電までの所要電力1.178kw×新・電力量単価1kWhあたり31円=約37円です。すると、2枚で5万9600円のソーラーパネルをペイするには、単純計算で1610回、太陽光で満充電にする必要があります。時間と手間を考えると、節電のためにソーラーパネルを購入するメリットは少ないと思います」

したがって、ソーラーパネルを買うことが、短期的に見て“お得”とは言い切れません。ただし、長い目で見て、ソーラーパネルを買っておくメリットは大きいと、田中さんは言います。

「ソーラーパネルは電源がない場所でも充電できることが、最大のメリット。万一停電が長引いたときにソーラーパネルがあれば安心できることは間違いありません。晴れた日には太陽光で充電し、日常的に使っていくことが、長い目で見て電気代の節約と万一の備えにつながると思っています」

最後に、田中さんのおすすめのポータブル電源を2点ご紹介。いずれも、ソーラーパネルとセット買いができるモデルです。