女性を悩ませるPMSと低気圧と自律神経の深い関係
多くの女性が悩まされているPMSの原因はまだ確定されていませんが、2種類の女性ホルモン分泌の大きな変化が要因のひとつといわれています。
PMSや生理痛をさらに重症化させるのが、自律神経の乱れです。過度なストレスを抱えていたり、疲れが蓄積されてリラックスする時間を持てなかったりするときは、どうしても交感神経が優位な状態になってしまいます。すると、血管が収縮することで血流が悪くなって痛みをより強く感じてしまったり、全身の細胞に必要な栄養素が供給できなくなって倦怠感やイライラした精神状態に陥ってしまったりするのです。
PMSの起こる生理前は、交感神経が優位になりやすい時期ですが、そもそも自律神経の総合力が低下しがちです。生理前は溜め込む時期と表現されることが多いですが、これは黄体ホルモンの働きによるもの。排卵後からの高温期には、受精卵が着床して妊娠が成立しやすくするために黄体ホルモンが分泌されます。このとき体は水分を溜め込む方向に働き、むくみやすくなります。そこに、交感神経が優位な状態が重なると、さらに血流は悪くなって排泄も滞りがちになり、むくみなどの症状はますますひどくなっていきます。
生理が始まると副交感神経が優位になり、本来であれば心身ともにリラックスするはずなのですが、仕事やストレスなどで常に緊張状態が続いてしまうと交感神経ばかりが働いてしまい、血流が滞りがちになってしまいます。さらに、血行不良によって子宮がうっ血すると、生理中の痛みをより強く感じるようになります。これがPMSの原因のひとつと考えられますが、このとき低気圧が接近して自律神経が乱れると、痛みが増幅される場合があります。
体の水はけをよくして長雨の季節を乗り越える
雨続きのとき、低気圧の影響もあって、体はいつも以上に水分を蓄えやすくなります。普段はあまりむくみを感じないというタイプの方でも、長雨によって一時的に体質が変わり、水分を蓄えやすくなることもあります。雨が降る前日に頭痛がする、舌にギザギザの歯形がつく、脚のスネの骨の上を押して凹んだ跡が5秒たっても消えない、などがあれば、体内に必要以上に水分が溜まっている可能性が高い状態だと考えられるでしょう。
東洋医学での「水毒」とは?
東洋医学では体内に水分がとどまったり偏在している状態を「水毒」といい、PMSの症状が悪化する可能性が考えられます。体内の水分代謝が悪くなると、むくみ、倦怠感、拍動性頭痛、頭重感、立ちくらみ、悪心・嘔吐などさまざまな症状を引き起こします。
さらに東洋医学では「気・血・水」のバランスが大事というのが基本的な考えとしてあり、この3つのバランスをとるためには、まず、胃腸の調子を整えることが大切です。胃腸が弱っていると体の水はけが悪くなってしまい、それがさまざまな不調を招く引き金になってしまうのです。
自律神経から見ると、胃腸の調子を上げるためには副交感神経をよく働かせることが必須です。水毒が原因と考えられる、雨(低気圧)とPMSや生理が重なった不調のときは次のようなセルフケアで、体を冷やさないようにすることが肝心です。
・冷たい飲み物を控え、なるべく温かいものを飲むようにする。
・甘いもののとりすぎは体を冷やすので、適量にとどめる。
・胃の不調とストレスは密接な関係にあるので、ストレスフルな生活にならないよう心がける。
・筋力不足になると脂肪が多くなり、それが水分代謝機能を低下させるので、適度な運動を心がける。
・シャワーですませずに入浴をして全身の巡りをよくする。
また、医療では漢方薬が助けになることがあります。漢方薬は、婦人科でも処方してもらえるところがあるので、かかりつけ医があると安心です。漢方専門医に相談するか、漢方薬局や市販薬購入などの方法もあります。
■気・血・水のすべてをバランスよく改善する漢方
・加味逍遙散(月経痛、イライラ、肩こり、めまいなどに効果)
・当帰芍薬散(むくみ、貧血症状、頭痛、PMSなどに効果)
■気の異常を緩和する漢方
・抑肝散(イライラや不安、動悸などに効果)
・柴胡加竜骨牡蛎湯(イライラや不安、不眠などに効果)
・加味帰脾湯(気分の落ち込み、不眠などに効果)
■気・血の異常を緩和する漢方
・桃核承気湯(イライラ、のぼせ、月経痛)
■低気圧に伴う水毒を改善する漢方
・五苓散
・桂枝茯苓丸
・半夏白朮天麻湯
・当帰芍薬散