
【目次】
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尿漏れの症状と原因
女性は尿道が短く尿が漏れやすい体の構造になっているため、男性よりも尿漏れしやすいといわれています。加えて、出産の経験や更年期などのさまざまな要素も尿漏れの原因になる可能性があります。
尿漏れにはいくつかのタイプがありますが、とくに女性に多いとされるのは「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」の2つです。
腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁は尿意がなくても、「咳やくしゃみをする」「重いものを持ち上げる」など、お腹に力が入ったときに不意に漏れてしまうのが特徴で、加齢や出産によって「骨盤底筋、靭帯、結合組織」が緩んでしまうことが原因のひとつに挙げられます。

また、尿道の筋肉にハリを持たせ、尿道を支える役割のある女性ホルモンの「エストロゲン」が更年期以降に減少することも尿漏れの原因です。
切迫性尿失禁
急な尿意を我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁の特徴で、膀胱と脳の伝達がうまくいかないことが原因の場合や、膀胱が勝手に収縮して症状が出ることがあります。
また、過活動膀胱(急に尿意を催して何回もトイレに行ったり、トイレに間に合わず尿を漏らしてしまったりする病気)といった、病気も原因の可能性があります。
尿漏れの対策方法
尿漏れは骨盤底筋を鍛えたり膀胱訓練をしたりすることで、解消できる場合があります。そこで、骨盤底筋を鍛えるエクササイズと膀胱訓練のやり方を紹介します。
骨盤底筋訓練
「ヒップリフト」のやり方

【1】仰向けでひざを立てる。

【2】両手は体の横に置き、肩からひざまでが一直線になるようにお尻を持ち上げる。
【3】ゆっくりお尻を下げる。
まずは30回を目標にし、余裕がでてきたら回数を増やします。お尻の穴をキュッと締めながら、お尻を持ち上げましょう。
「ランジ」のやり方

【1】両脚を揃えて立つ。

【2】右脚を後ろに引いて両ひざを曲げる。
【3】【1】に戻る。
【4】左脚を後ろに引いて両ひざを曲げる。
【1】〜【4】を1セットとし、まずは30回を目標にチャレンジしましょう。余裕がでてきたら回数を増やします。
疲れてくると前のめりになって、前脚に体重がかかりやすくなります。両脚に均等に体重を乗せ、前のひざがつま先より前に出ないように注意しましょう。
膀胱訓練
膀胱に少ししか尿がたまっていないのにトイレに行くことを繰り返していると、膀胱が過敏になったり小さくなったりする場合があります。そこで、尿意を我慢することが、膀胱に尿をためる訓練になります。
まずはいつもより5分程度我慢することから始めて、徐々に時間を伸ばしてみてください。

尿漏れに役立つ食事
尿漏れには、尿道周りの筋肉の収縮などを整える効果がある「マグネシウム」を含む食材の摂取がよいとされています。
日本人女性におけるマグネシウムの1日の推奨摂取量は、30〜64歳は290mgです。通常の食事での耐容上限量(健康障害を未然に防ぐ量)は設定されていませんが、食事以外での摂取は成人は350mg/日が設定されているので、サプリメントなどを服用する際は注意してください。(公益財団法人長寿科学振興財団「マグネシウムの働きと1日の摂取量」https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-mg.html)。

手軽にスーパーで入手できる食材で100g中のマグネシウムの含有量が多いとされるのは、切り干し大根(160mg)、しらす干し(130mg)、ほうれん草(69mg)、めかぶ(61mg)です(文部科学省「食品成分データベース」https://fooddb.mext.go.jp)。これらの食材を日々のメニューにとり入れるとよいでしょう。
尿漏れ解消に役立つ漢方薬
尿漏れに効果が認められ、泌尿器科などで処方されている漢方薬もあります。漢方薬は尿漏れの解消だけでなく予防も期待できることや、毎日決められた量をのむだけで取り入れやすいのもうれしいポイントです。
具体的には、「膀胱の機能を正常化する」「排尿のコントロールを改善する」といった働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。

おすすめの漢方薬
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
疲れやすく、手足の冷えがある人に。老化によって衰えた腎(じん)を補うことで泌尿器系の機能を整える漢方薬です。尿漏れや排尿困難、倦怠感、腰痛、口の渇きなどにアプローチします。
・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
下半身のしびれや痛み、むくみ、排尿トラブルなどがある人に。頻尿または尿量の減少、倦怠感、腰痛、浮腫などにアプローチします。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:ヨガインストラクター・高橋かなこさん

たかはし・かなこ。RYT200(全米ヨガアライアンス認定)修了インストラクター。企業での事務経験から、デスクワークで疲れた部位や崩れた姿勢のためのレッスンを得意とする。自身のダイエット成功経験から、美しい体を作るためには食と思考が大切だと痛感し、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp)などで精力的に情報発信を行っている。