エンタメ

「恋する人たちの横で一緒に七転八倒してくれる」KANさん珠玉のラブソング 「もどかしさも恋の醍醐味」と教えてくれた

闘病の末、2023年11月12日逝去したKANさん(写真は1992年、Ph/SHOGAKUKAN)
写真8枚

『ArtistCHRONICLE』2月マンスリーに登場

たくさんの表現が束になっているのに、胸に届くと、それがほどけて、ふわっと「好き」という気持ちがシンプルに広がるKANさんの歌とピアノの音は、「不器用だと思われてもいい。空回りしてもいい。素直になってみるか……」と、モジモジ前に組んでいた手を、大切な人へと差し出そうと勇気をくれる。

すでに両想いの方にも効果は絶大だ。「愛していると言葉にせずともわかるだろう」族はせめて、『何の変哲もないLove Song』(2005年の限定盤『何の変哲もない Love Songs』収録)、『50年後も』(1999年のアルバム『KREMLINMAN』収録)をお相手と一緒に聴いてほしい。お望み通り、言葉にせずとも愛が伝わり、幸せ増量だ。

KANさんの楽曲はアルバムも名曲が多い。CDのほか、サブスクも解禁されているが、2月はほかにも、大阪のFM COCOLOとSpotifyによる、1か月に1アーティストを掘り下げる企画『ArtistCHRONICLE』で特集が組まれている(https://cocolo.jp/site/pickup_detail/2503)。こちらは楽曲だけでなく、音楽仲間による彼のエピソードも楽しめそうだ。

KANさんの歌は、恋する人たちの横にいて、一緒に七転八倒してくれる。きっとこの瞬間も、誰かの背中を押している。

そして、誰かをつなぎ、永遠に響く。

「ヒストリー」からグルメ情報まで、読みどころ満載の公式サイトは健在(KANオフィシャルサイトより)
写真8枚

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
写真8枚

1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

●『やさしい悪魔』『危い土曜日』『わな』…伊藤蘭46年ぶりの紅白出場で思い出す「甘いだけじゃない」キャンディーズのビターな名曲たち

●《いつまでも聴けるわけじゃない?》華やかなカリスマなのに実直さを併せ持つ歌姫・安室奈美恵 楽曲「サブスク撤退」で思い出した「音楽のありがたみ」

関連キーワード