
北陸新幹線がいよいよ2024年3月16日に福井県の敦賀まで延伸されます。これにより東京駅から福井駅までの所要時間が最短2時間51分となり36分短縮に。福井県まで乗り換えなしでアクセスでき、首都圏からぐっと身近な旅先になります。今回は旅行ジャーナリストの村田和子さんが注目の「福井県・三國湊」を紹介します。
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歴史、文化、自然と魅力の多い福井県。首都圏から新幹線1本で行けるとあって、人気になること間違いなし! 今回は、筆者が大人の旅先としてイチオシの福井県にある三國湊(坂井市三国町)にフォーカス。北前船の寄港地として栄えたレトロな町並み、それを生かしたレストランや宿が誕生する、新旧の魅力が融合した三國の町を紹介します。

三國湊ってどこ?アクセスは?
九頭竜川の河口に位置する「三国湊」は、江戸時代から明治時代初期にかけて、北前船の寄港地として栄え、レトロな町並みが楽しめます。三國湊のある福井県坂井市は日本海と九頭竜川のダイナミックな景色や温泉に恵まれ、冬場の越前がになど海の幸を目当てに訪れる人が多い場所。また、東尋坊や丸岡城など有名観光スポットもあるので、宿泊してじっくり観光するのがおすすめです。

三國湊までは3月16日から北陸新幹線が停車する「福井駅」から、えちぜん鉄道に乗り換え約50分、三国駅下車。あるいは同じく新幹線の停車する「芦原温泉駅」から路線バスも運行しています。
歴史ある建物はタイムスリップしたかのよう。レトロな町歩きが楽しい三國湊
北前船で財を成した家が並ぶ「三国湊きたまえ通り」一帯は、タイムスリップしたかのような佇まいが続きます。かつて材木商を営んでいた「旧岸名家」は内部の見学もできて、当時の生活ぶりを知るのにぴったり。

廻船業から銀行業に転換した旧森田銀行本店は、有形文化財に登録され、内部が無料で公開されています。大正9年に建てられたルネサンス形式のモダンな建物は、福井県内で最古のコンクリート製の建築物で調度品や佇まいも重厚で目を見張ります。館内は吹き抜けになっており、天井は漆喰で、美しいレリーフが豪華です。

今でこそ、レトロな町並みにゆったりとした時間が流れる三國湊ですが、鉄道ができるまでは経済の要として栄えた地。相当な賑わいがあった時代を想像しながら、散策をしてみるのもいいですよ。


町家を改装したレストランやお土産屋さんなどもあるので、のぞきながら散策をすると楽しいです。ただし水曜日は多くの施設やお店が休館なので、注意しましょう。


■福井県坂井市観光ガイド https://kanko-sakai.com/
モチーフはお洒落な小学校!意外な歴史も学べる「坂井市龍翔博物館」
三国駅から坂を上り徒歩10分ほど。丘の上にある八角形のユニークな洋風建築が「坂井市龍翔博物館」。この建物は、明治時代に三國湊にあった「龍翔小学校」を模して建設され1981年に開館。昨年リニューアルし、歴史や文化を、お子さんから大人まで楽しみながら学べる施設に生まれ変わりました。



そして4階には「エッシャーに捧ぐ」という言葉ととともに、想像力を育む素敵な展望室も設置され、三国の町が一望できます。

錯覚の世界を描いたエッシャーですが、実はお父さんはオランダ人技師として、三国港突堤の設計に携わり、三國湊とは深い縁があるそう。三国港突堤は、通称エッセル堤とも呼ばれています。
■坂井市龍翔博物館 https://ryusho-museum.jp/
古くて新しいユニークな施設が登場!住むように町を楽しむ「オーベルジュほまち 三國湊」
一帯は、四季折々の海の味覚を楽しめる民宿や旅館が多い場所ですが、最近は町家を改装し、歴史や文化に触れながら、住むように旅ができる宿も登場しています。「オーベルジュほまち 三國湊」は2024年1月にオープン。宿の名の「ほまち」とは、「帆待ち」の意で、北前船が出航に良い風を待ち滞在したという、この地の歴史が由来とか。

「町家」を改装した分散型のオーベルジュは、フロント棟、レストラン棟、そして客室棟9棟16室が街中に点在し、一つとして同じ客室がありません。

客室の中には、元テーラー、元料亭、あるいは三国ならではの「かぐら建て」の町家や蔵を改装したものなど、それぞれの歴史があります。その歩みや特徴を生かし大切にリノベーションがされた客室は魅力的で、どこへ滞在をするか迷ってしまうほど。



調度品も、実際に町家や蔵にあったもの、福井県産の木材や笏谷石を使うなど、福井そして三國湊にこだわった、滞在に深みがある大人向けの空間が広がります。

一方で、水回りは快適に使えるように整備されています。

レンジや調理器具の揃ったキッチンもあり、ティータイムを楽しんだり、地元の食材でおつまみを作り地酒をいただく……なんていう過ごし方もいいかもしれません。

なお、宿泊者向けには、北陸新幹線が停車するJR芦原温泉駅までの送迎(所要20分ほど)もあるので、手軽に三國湊までアクセスできます。
メインとなる地元素材を生かしたフレンチレストラン「タテルヨシノ 三國湊」
オーベルジュということで、滞在のメインとなるのが食事。夕食は、スターシェフ吉野建氏が監修するフレンチレストラン「タテルヨシノ 三國湊」で、地元の食材を使ったフレンチを頂けます。

レストラン内には、吉野シェフがフランス滞在中に手に入れた絵画が飾られ、デザートにはシェフの出身地・鹿児島ゆかりのアイスが添えられるなど、三國湊という土地の魅力に、吉野氏の思いがコラボした、ここならではのお料理と時間が満喫できます。

港町とあって魚介がメインかと思いきや、コースには、牛や地元の季節野菜などの多彩な食材がバランスよく取り入れられ、目にも鮮やかなコース料理が堪能できます。

海辺に訪れると、海鮮などの和食を頂く機会が多くなりがち。オーベルジュに滞在すれば、違った角度から、地元の素材をいただけて、旅の楽しさも膨らみます。
いかがでしたか? 首都圏からアクセス至便となる福井は、まだ知られていない魅力的な場所が多くあります。その中でもノスタルジックな雰囲気に新しい魅力が加わった大注目の三國湊。ぜひ旅先の候補にいれてみてくださいね。
■オーベルジュほまち 三國湊 https://www.homachi.jp/
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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