ライフ

薄井シンシアさん64歳「生きるために一番必要なのは体力」将来の理想は「現在の私がそのまま80歳になった状態」

80歳ぐらいで死ねたらいい

長生きしたいとは思いません。できれば80歳ぐらいで死ねたらいい。でも人間って、いつ死ぬかを選べないじゃない? だから、私は離婚のときと同じように、すごく良いシナリオを見つつ、最悪のことを考えています。つまり、なるべく寝たきりにならないように努力を続けています。

薄井シンシアさん
努力を続けるシンシアさん
写真4枚

64歳の今でも、私は耳がちょっと遠くなったなとか、目がかすむなと思うことがあります。だからたぶん80歳を超えたら、身体能力は低下する一方だと思います。80歳を超えても食事をおいしく食べられると思いますか? それで本当に人生を楽しめると思う? 私が見る限り、魅力的な80歳というのは、ほんの一握り。

能力のフル活用とのジレンマ

では、どんな人が「魅力的な80歳」に見えるのか。私の場合、現在の私がそのまま80歳になった状態が理想です。具体的に言うと、目の前に来た仕事の依頼をきちんと受けられる、さばける、モノにできるという状態。私はすごくハングリー精神があるし、組織のトップになりたいという気持ちもあります。だから本当は、今もすごく葛藤があります。

自分の能力をフルに発揮したいという気持ちの半面で、65歳という年齢は、下り坂にいることもわかっている。もしいま社長になっても、「これから5年間で会社を成長させる時間と体力があるか」と問われたら、「無いかもしれない」と思ってしまう。だから自分にストップをかける。これが今のすごい葛藤です。そんな自分が中途半端で嫌だなと思うときもあります。

◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
写真4枚

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ

●薄井シンシアさん、年に一度「体力・財力・気力」を自問する「だから私は人生に迷わない」

●薄井シンシアさんの社交術 外交官夫人時代のホームパーティーは「仕事だからサプライズはしない」