心臓リハビリメソッドで最も大事なのは有酸素運動
心臓リハビリメソッドで最も大切なのは有酸素運動ですが、なかでもおすすめなのはウォーキング。「歩くことに勝る有酸素運動は存在しないのです」と上月さん。日ごろから有用な歩数を確保できている人は少ないのだそうです。
「公衆衛生学的な根拠を持つためには、毎日30分あるいは1週間の合計で150~180分以上の有酸素運動を中強度で行うことが必要です」
ダラダラ歩きはストップ
ウォーキングのポイントは2つ。1つ目は、30分の歩く時間を新たに作るのではなく、毎日ダラダラ歩いている時間のうち、30分に相当する3000歩を中強度の運動である「いきいきウォーキング」に置き換えることです。そしてもう1つは、5分、10分と小分けにしてもいいので、一日の合計で30分を確保することです。
「毎日の買い物や散歩の時間を『いきいきウォーキング』に置き換えるのなら、それほど難しいことではないはずです」
いきいきウォーキングのポイント
いきいきウォーキングは通常の歩き方より強度を上げたウォーキング法。背筋を伸ばして胸を張り、軽くこぶしを握り、腕を前後に大きく振りながら歩きましょう。足はかかとで着地して、つま先でけり出すようにし、前に出した足のひざを伸ばしましょう。また、正面を見て視線は少し遠くにするのもポイントです。
「いきなり頑張ってたくさん歩くのは、足腰に不安のある人だと難しいでしょう。その場合、まずは歩数計を付けて自分がどれくらいのペースで歩けているのかを測定し、運動時間も5分から始めるなど、自分に合った適切なプランで臨んでみてください」
◆教えてくれたのは:医師・上月正博さん
こうづき・まさひろ。東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長、医学博士、日本心臓リハビリテーション学会名誉会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年東北大学医学部卒業。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とし、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」を2018年に、「日本腎臓財団功労賞」を2022年に受賞。著書に『医師がすすめる自力でできる弱った心臓を元気にする方法』(アスコム)など。