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【大塚寧々 ネネノクラシ#67】美味しいものとの出会い イワシの梅煮、蕗のとうの天ぷら作りで”やってしまった”「後悔」

美味しいものとの出会いがあったが…(Ph/中野修也(TRON))
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女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第67回は、季節の変わり目で出会った美味しいものについて。

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季節の変わり目は、とにかく免疫力を高めるとされている食べ物を摂るようにする。そして適度な運動と睡眠時間を大切にする。3月でも、まだまだ寒い時もあり、我が家はおでんや鍋を食べる事もある。野菜もサラダではなく、なるべく蒸したりして温野菜を食べる。

そういえば先日、鎌倉に夫と母とふらっと行った。魚屋さんで、母は大好きななまこを嬉しそうに買っていた。私は、新鮮なイワシと目が合った。イワシの梅煮が食べたい!と思ったが迷う。 そうです。私は魚を捌くのが本当に苦手です。イワシの梅煮の美味しさとイワシを捌く面倒くささを天秤にかけて諦めようと思ったその時、夫が「新鮮で美味しそうだね」とポツリと呟いた。

うう~と私は心の中で呻いた。「買う?」とおそるおそる聞くと、嬉しそうな声で「買おっか!」と言った。いや、買うのはいいけど捌くのも作るのも私ですよね!と心の中で叫ぶ。そうして新鮮なイワシを持ち帰る。

自ら捌いて作ったイワシの梅煮(Ph/大塚寧々)
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イワシを見ながらついついため息が出る。ええ~い! もう勢いで頑張ろうと、捌く。大変だったけどイワシの梅煮は美味しかった。

先日学生時代からの友達の家に遊びに行き、「イワシの梅煮を作るのが大変だったのよ~」と話したら、 「へ?」という顔をして「魚屋さんが捌いてくれるよ~!」と言った。「ああ~? その手があったか~」と私は叫んだ。

なぜ思いつかなかったのかと悔やまれる。そうだ、捌いてもらえばあんなに大変ではなくもっと気軽に食べられるではないか! 友よ ありがとう。

蕗のとうを天ぷらにしたが…

これからはイワシの梅煮が食卓に上がる回数も増えるだろう。とにかく季節の変わり目は美味しい食材との出会いが多い季節でもある。春は、筍や蕗のとう、菜の花とホタルイカ、春キャベツと食べたい物がたくさんある。そして、失敗もある。山の家からの帰りに高速のパーキングで、ビニール袋に入ったたくさんの蕗のとうが売っていた。大好きなので2袋買って天ぷらにした。

 

なぜか失敗した。小麦粉と水の量をちょっと間違えたらしい。ああ~山の家のお隣のMさんの美味しい天ぷらが食べたいと心から思った。Mさんに失敗したと話したら、蕗のとうはなるべく広げて花が咲いたように揚げると良いと教えて頂いた。ああ~広げなかった。次回はちゃんと広げよう。

◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)

1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。

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