バラエティやテレビドラマに出演していた、元フリーアナウンサーの別府彩さん(48歳)。希望していた芸能界で活躍するも、たった2、3年で引退することに。芸能界で受けた洗礼や、現在の「タレントキャリアアドバイザー」の職に就くまでの紆余曲折を語った。
自信のなさから司会の明石家さんまから視線をそらした
大学生時代から華やかな世界に憧れがあった別府さん。フリーアナウンサー、オートレースのリポーター、グラビアモデルを経て、まさに華々しいテレビタレントとして活動の場を広げたが、待ち受けていたのは挫折だった。
「振り返ると、一番記憶に残る失敗は『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)でのことだと思います。あの番組は業界人も注目していて、出演時の評判でタレントがブレイクするか否かが決まると言っても過言ではありません。もっと覚悟を決めて挑んでいたら違う未来があったのかもしれないと、いまだに思います。
バラエティは戦場だってよく言いますよね。それは理解していたし、マネージャーとトークのリハーサルもしていたんです。でも、さんまさんに視線を送られた時に、自信がなくてうつむいてしまうこともあって……。私がこの世界で闘い続けるのは厳しいと感じました」
芸能界で感じた「私は“普通”」
タレント業を始めて2、3年経った33歳で、別府さんは芸能界を引退する。
「一流の方たちと比べると、私は“普通”なんだなと身をもって知りました。そんなタイミングでテレビやラジオのレギュラー番組が終了し、そうなると安定した収入が得られません。単発の仕事をいただきながら、はがきのシール貼りなどのアルバイトをして食いつないだりもしましたが、精神的にも金銭的にも追い込まれて、こんな綱渡りの状態でいいのかと悩みました。
その結果、新しいことに挑戦するなら30代前半の今が最後のチャンスだと考えたんです。もちろん、ここまで頑張って階段を上ってきたのに、たった数年であきらめるのかという葛藤がありました。けれども親にも心配されていて、母からの“そこにしがみつく必要はないよ”という言葉に背中を押されました」
転職活動では中途採用の求人に約50社応募
約10年ぶりの就職活動は想像以上に難航した。50社ほどに応募したが、ことごとく書類選考で落ちてしまう。
「アナウンサーやグラビアをしていたといっても、社会経験が乏しいと判断されたのだと思います。転職も難しいんだという現実に打ちのめされました。どこも行くところないのかもしれないと不安になっているなか、3か月ほどで採用が決まったときには本当に嬉しかったです」
長時間労働を要する企業だった
別府さんが選んだのは広告制作会社。イベントのMCを担当するなど、これまでのスキルを活かせる職場だったが、プライベートがないほど長時間労働を要する企業だったという。
「体力的につらくて2年もちませんでした。ただ、1社目でイベントを作る側に回ってみて、自分の知識や経験を生かせる場所だと実感したし、とても楽しかったんです。2社目もイベント業界を選びました」