女優・大塚寧々さんが、日々の暮らしの中で感じたことを気ままにゆるっと綴る連載エッセイ「ネネノクラシ」。第71回は、寧々さんが毎年行っている「畑の準備」について。
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四月は雨が多く、予定より一週間ほど延びたが、無事にドラマの撮影が終わった。延びたといえば、山の家の雑草も伸びているはずだ。今年の畑の準備もしなければいけない。数日休みができたので、さっそく山の家に向かった。
…案の定 雑草は元気に伸び放題伸びていた。まずは、雑草を取る。まだ土が柔らかいのと雑草も小さいので、根っこから抜きやすい。それでも大きく成長してしまった雑草を取るのは大変だ。なるべく垂直に引っ張ると、スポッと綺麗に根っこから抜けてくれるのだが、たまにブチっと途中で切れてしまう。 「ああ~」とため息だ。残った根っこを引っ張るが抜けてくれない。
君(雑草)はまた来年も、いえ、数ヶ月後にはまた生えてくるんだよね。と思わず呟いてしまう。逆にスポッと綺麗に抜けてくれたときは、何だか感動だ。綺麗に抜けた根っこをしばし眺めてしまう。振って土を落として完成だ。
ホームセンターで「石灰が売り切れ」でどうする?
雑草抜きが無事に終わったので、近くのホームセンターに石灰を買いに行く。なんと!売り切れだった。みなさんさすがに準備が早い! いや、確かに私は今年は出遅れた感がある。一袋だけ有機肥料が残っていたが、悩んだが買わずにもう一軒の肥料屋さんに行く事にする。
……石灰は売り切れだった。 どうしよう…ホームセンターに戻っても一袋しか残っていなかった有機肥料はもう売り切れているかもしれない。でも石灰じゃなくても、あった方がいいと思い再びホームセンターに向かう。 あった~! 残ってました! いそいそと有機肥料を抱きしめて家に戻る。
お隣のYさんが、耕すのを手伝ってくださる。耕運機も持ってきてくれた。本当にいつも何から何までありがとうございます。石灰じゃなく、有機肥料なので手でパラパラと撒く。 とにかく今年も元気な野菜が出来ますように!と思いながら耕した。
春は、蕗のとうやたらの芽やこごみなど新鮮な山菜が豊富だ。そしてコシアブラ! Yさんがご自宅の庭にあるコシアブラの木に梯子で昇ってたくさん取ってくださった。 葱坊主も畑からとってくださった。良い香りがする。
家に帰ってすぐに天ぷらにした。採れたて新鮮な野菜はものすごく美味しかった。
◆文・大塚寧々(おおつか・ねね)
1968年6月14日生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部写真学科卒業。『HERO』、『Dr.コトー診療所』、『おっさんずラブ』など数々の話題作に出演。2002年、映画『笑う蛙』などで第24回ヨコハマ映画祭助演女優賞、第57回毎日映画コンクール主演女優賞受賞。写真、陶芸、書道などにも造詣が深い。夫は俳優の田辺誠一。一児の母。