暑くなってきた今の時期こそ、スタミナをつけるためににんにくを食べようと考える人も多いのでは? スタミナ満点のにんにくについて、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから、にんにくに含まれる豊富な栄養素の効果とニオイを抑える食べ合わせについて教えてもらった。
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健康効果に期待大!にんにくの栄養素
スタミナ食材の代表格のにんにく。そう言われる理由は、とある2つの栄養素の相乗効果によるものです。
アリシン+ビタミンB1でスタミナアップ
にんにくの独特のにおいのもとは、アリシンという抗菌作用のある栄養素によるものです。にんにくに含まれる細胞が破壊されると大量に生成される栄養素なので、多く摂りたいときは生にんにくのすりおろしがおすすめ。アリシンは揮発性で、すりおろしてから10分以上経つと減ってしまうため、食べる直前にすりおろすのがいいでしょう。
また、アリシンは熱を加えることによりスコルジニンという成分に変化し、新陳代謝を活性化させる効果が期待されています。
ちなみに、にんにくを食べすぎるとお腹が痛くなることがありますが、これはアリシンの抗菌作用が腸内細菌へ影響を及ぼすためです。特に生のままだと刺激が強いので1日1片、加熱したものでも1日1~2片程度が適量です。
また、にんにくには糖質の代謝に関わるビタミンB1も豊富。疲労回復や免疫力の強化、肌荒れの改善などに効果があります。アリシンはビタミンB1と結びつくことで疲労回復効果が促進し、持続力がさらにアップ。にんにくがスタミナ食材と言われるのは、この2つの栄養素の効果が大きいからです。
ビタミンB6やリンで健康維持をサポート
ほかにも、たんぱく質の代謝をサポートするビタミンB6も含まれます。健康な骨や歯を作り、体を動かすエネルギーの生成をサポートするリンも含まれ、健康的な体を維持する効果が期待できます。
口臭を抑える!食前・中・後のポイント
にんにくというと、やはりニオイが気になるもの。最後に、にんにく料理を食べても口臭を軽減できる、食べ合わせについてお教えします。
食前、食中は乳製品・緑茶・コーヒーが◎
口臭予防には、食事の前にヨーグルトを食べたり、牛乳や緑茶を飲んだりしておくのがおすすめです。乳製品にはアリシンを包み込み、粘膜での吸収を抑える効果があり、緑茶は強い殺菌・消臭効果があるカテキンやフラボノイドが豊富です。ペットボトルよりも、茶葉から入れた緑茶のほうがカテキンやフラボノイドの含有量が多いです。
ちなみに、カテキンやフラボノイドはアリシンと結合してニオイを軽減する効果があるので、食前だけでなく食中・食後でも効果が期待できます。
また、食中にはコーヒーを飲むのもよいです。強い消臭効果があるタンニンが含まれているうえに、抗酸化作用のあるポリフェノールがニオイのもととなるアリシンと結びついて分解・吸収し、口臭をおさえる効果があります。アメリカンコーヒーはタンニンが多いので、特に効果的です。
食後はポリフェノールを含む食品を!
食後には、ポリフェノールの多いフルーツや野菜を食べましょう。りんご、キウイ、ブルーベリー、パセリなどです。チョコレートもいいですよ。
ポリフェノールにはアリシンを分解し、全身に行き渡るのをおさえる効果があるといわれています。アリシンが全身にまわるには1時間程度かかりますので、食後1時間以内に摂取するといいでしょう。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ