2024年6月9日、ご成婚31年を迎えられた天皇皇后両陛下。ご成婚パレードの際に雅子さまがお召しになっていたのは、2022年8月に他界したファッションデザイナーの森英恵さん(享年96)がデザインしたものだった。雅子さまのドレスや森さんのコメントを振り返る。
雅子さまのイメージに合わせた花びらが印象的なウエディングドレス
1993年6月9日、皇居から東宮仮御所までの約4.2kmをオープンカーで移動するご成婚パレードが行われた際、雅子さまがお召しになったローブ・デコルテは、世界で活躍する森英恵さんが手がけたことでも話題になった。
ドレスとジャケットを組み合わせたスタイルで、ジャケットの襟は花びらがあしらわれているようなデザイン。雅子さまを「バラのような方」と表現していたという森さんは、雅子さまのイメージにぴったりなデザインのドレスを手がけた。
ふんわりと揺れる花びらは何枚か重なっていて立体的なデザイン。ドレスのゴージャスさが雅子さまの笑顔を引き立てていた。また、ドレスの生地にもバラのような模様が施されており、森さんのドレスへのこだわりが感じられる。
森さんは、当時の心境をこう振り返っている。
《当時の皇太子殿下のご婚儀に際し、雅子さまのローブデコルテをおつくりしたのは光栄なことでした。いずれは皇后陛下になられるお立場の方、私の仕事人生の中でも大きな思い出です。デザイン画を何枚か用意して仮縫いをさせていただきました。出来上がりを気に入って下さり心に残っています》(『文藝春秋』2019年11月号)
また、ドレスを制作した当時、仮縫いのため、アトリエに密かに足を通われた雅子さまのご様子を森さんは以下のように語っている。
《お母さまが運転なさる車に乗られて(こちらへ)お出かけくださいました。雅子さまはお会いする度にますますお幸せそうになられるのが(私としても)とてもうれしく存じました》(『女性セブン』1993年6月24日号)
ご成婚から約26年後の2019年11月、天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」でも襟に花びらの装飾があしらわれたデザインのジャケットをお召しになっていた。ご成婚パレードを彷彿とさせるドレスに、懐かしさを感じた人も多いだろう。