子犬のうちから歯みがきに慣れさせる
実は怖い歯周病。予防策はやはり、食べかすを放置しないことだという。
「食べかすを放っておくと細菌が集まって歯垢になり、さらに石灰化して歯石になり、歯周組織の炎症を引き起こします。1日1回、愛犬の歯みがきをして、歯垢の付着を防ぎましょう」
歯周病のリスクは5歳頃から高まるが、歯みがきは子犬のうちから習慣化するべきだと内山さんは言う。
「大人になってから急に歯みがきをしようとしても、犬は口の中を触られるのを嫌がるので、うまくいかないと思います。乳歯はどうせ抜けるからと思わずに、子犬のうちからトレーニングしたほうがいいですね」
歯みがきのトレーニングとは?
トレーニングとは、具体的には、犬の口に触れることから始めて、指で歯をみがく、指にガーゼを巻いてみがく、歯ブラシでみがくなど、段階を踏んで歯みがきへの犬の抵抗感をなくしていく。
「最初は犬の顔や口の周りを手で触れて、それから唇をめくって歯や歯肉にも触れ、最後は口端をぐいっと引っ張って奥歯にも触れて、と焦らず細かくステップを上がりましょう。トレーニングは思いきり褒めながらやってくださいね。歯肉に触らせてくれたら撫で、歯みがきさせてくれたら褒め、とにかく、“歯に触られるのは嫌なことではない”と犬に思ってもらうことが大切です」
それでも、奥歯や歯の裏、歯と歯の間はみがけなかったりするものだが…。
「もう、それは気にしないでください。愛犬家のかたほど、完璧にできないことを気に病まれたりしますが、できる範囲で構いません。全くやらないよりは、ずっとマシです。歯ブラシやガーゼがダメなら指だけでもいいです。塗るだけである程度の効果が期待できる歯みがきジェルなども、最近は市販されています。1日1回、完璧じゃなくても歯みがきできたら、100点満点ですよ!」
◆教えてくれたのは:獣医師・内山莉音さん
獣医師。日本獣医生命科学大学卒業(獣医内科学研究室)。動物病院を経て、アニコム損害保険(株)に勤務。現在もアニコムグループの動物病院で臨床に携わる。
取材・文/赤坂麻実