
2024年6月9日にご成婚から31年を迎えられた天皇皇后両陛下。結婚記念日の前の6日に、ご一家が飼われている猫の写真が宮内庁から公開された。そこで動物好きでも知られる天皇ご一家の猫に関するエピソードを振り返る。
猫の写真を持参された雅子さま 「猫談義」に花が咲く
2024年4月23日、天皇皇后両陛下が主催する春の園遊会で、招待された現代美術家の横尾忠則さんと両陛下が猫の話題で、話が弾まれる場面があった。









飼っていた猫を描いた横尾さんの作品について懇談された際、雅子さまが「ネコ2匹飼っている」とバッグから猫の写真を取り出され、横尾さんに見せられた。「これはお飼いになってる?」と横尾さんが尋ねると、野良猫を保護され、飼われていることを説明された。


公開されたのは、このとき横尾さんに見せられていた飼い猫の写真だ。


愛子さまが東宮御所に迷い込んだ猫を保護
学習院初等科3年生の愛子さまが、当時、お住まいだった東宮御所に迷い込んだ母猫と4匹の子猫を餌付けし、保護された。2010年5月から飼われているキジトラの「みー」は、この子猫の中の1匹で、人になついていたことから「人間」と名付けられた母猫と共に、天皇ご一家が飼われることになった。他の子猫3匹は愛子さまの友人たちが引き取ったという。



「みー」と同じ、キジトラの「セブン」は、2016年9月にご一家が保護施設から譲り受けたという。

横尾さんは、愛子さまとの懇談でも、猫の話題になり「(ご夫婦の)どちらの方が猫好きなんですか?」と質問をされたり、横尾さんが世話をしている猫が太っていることを話すと愛子さまは「幸せな猫ちゃんですね」と笑顔を見せられたという。






動物がお好きな天皇ご一家
約31年前の、1993年1月19日に開かれた記者会見で、報道陣から共通の話題について質問された際、天皇陛下(当時は皇太子)が音楽、スポーツ、歴史、政治経済を挙げられると、雅子さまが「あとは動物の話と、子どものころやったいたずらの話とか」と付け加える場面があった。

天皇皇后両陛下の動物好きという共通点は、愛子さまにも受け継がれている。愛子さまが学習院初等科を卒業された際、《私は、飼っている犬や猫と過ごす時が、一日の中で心が和む楽しい時間です》と書き出されている作文「犬や猫と暮らす楽しみ」と、保護犬と保護猫をテーマにした「動物たちの大切な命」という作文を綴られている。
「動物たちの大切な命」では飼われているペットへのお気持ちが綴られている。(以下は一部抜粋)。
《私の家では、犬を一頭と猫を二頭飼っています。みんな保護された動物です。前に飼っていた二頭の犬も保護された犬でしたが、どのペットも、可愛がって育てたらとても大切な家族の一員になりました。動物がいることで癒されたり、楽しい会話が生まれたりして、人と動物との絆は素晴らしいものだと実感しています》
これまで仲むつまじい姿を見せられた天皇ご一家だが、その笑顔は、犬猫の存在も大きく影響されているのかもしれない。

コロナ禍を経てご公務を再開された天皇皇后両陛下。愛子さまは大学への通学を始められています。忙しい日々を過ごされるご一家にとって愛犬や愛猫の存在は癒やしになっているかもしれません。過去に公開された雅子さまの誕生日や天皇皇后両陛下の銀婚式などの写真には、犬や猫たちが一緒に写っています。今回、ご一家の愛犬、愛猫のヒストリーを振り返ります。
報道で有名になったヨークシャテリアのショコラ
雅子さまの愛犬といえば、ご成婚前、ご実家で飼われていたヨークシャテリアを思い出す人も多いのではないでしょうか。天皇陛下(当時は皇太子)の結婚相手として報道された際、愛犬のショコラもテレビなどのメディアに登場していました。

1993年6月9日、結婚式当日に自宅を出発される雅子さまを、ご両親と妹と共にショコラも見送りました。
愛子さまが生まれる前から飼われていた2匹の愛犬、ピッピとまり
結婚されてからは2匹の雑種、ピッピとまりを飼われていました。赤坂御用地に入ってきた犬が10匹の子犬を産み、両陛下が2匹を飼われることになり、8匹は宮内庁の職員が引き取ることになったそうです。1998年12月、お誕生日の記者会見で雅子さまは、夫婦円満の秘訣について問われた際、愛犬について話されていました。

「今、犬がおりますけれども、この犬がいるというのも夫婦の仲にとって、とても良いように思います。よく『夫婦喧嘩は犬も食わぬ』と申しますけれども、喧嘩の種は割とよく拾って食べてくれるような気がいたします」
このユーモアな回答をされた記者会見から、約3年後に愛子さまが誕生されました。






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愛子さまを支えた愛犬・由莉
ピッピとまりは、2009年に寿命を迎えました。同年に、生後2か月の保護犬を動物病院を通じて、引き取ったご一家。愛子さまが、まりの名前と似た響きの、由莉と命名されました。




2010年に、学習院初等科2年生だった愛子さまが学校生活に強い不安を訴えられて、登校ができなくなる時期がありました。2011年の秋頃にはお一人で通学されるようになりましたが、当初は雅子さまが付き添われていました。雅子さまに代わって由莉が一緒に登校することもありました。








愛子さまが文集に綴った保護犬・猫への願い
15歳を迎えられた愛子さまの誕生日に、トラ猫のセブンが愛子さまの膝の上でくつろいでいる写真が公開されました。セブンのほかにも、みーという保護猫も飼われています。

愛猫を大事そうにひざに抱える愛子さま(2016年11月23日、Ph/宮内庁提供)
愛子さまが卒業記念文集「桜愛集」で「動物たちの大切な命」というタイトルで、飼われているペットや、保護された動物について書かれています。
「動物がいることで癒されたり、楽しい会話が生まれたりして、人と動物の絆は素晴らしいものだと実感しています。私が飼っている犬は、病院に入院している子供たちを訪問するボランティア活動に参加し、闘病中の子供たちにもとても喜ばれているそうです」


「私は、このような人と動物の絆の素晴らしさや、命の大切さを、広く伝えていかれたら良いと思います。そして、犬も猫も殺処分されない世の中の実現に向けて、たくさんの人に動物の良さが理解され、人も動物も大切にされるようになることを願っています」



動物を愛する両陛下のように、動物を思われる優しい気持ちは愛子さまに引き継がれています。










●《プライベート写真公開》天皇ご一家、ご静養でたけのこ堀りや野菜の収穫を楽しまれリラックスされた表情 天皇陛下が撮影された雅子さまと愛子さまの写真も
●《天皇ご一家の音楽秘話》天皇陛下は復興の“シンボル”「津波ビオラ」を演奏、初等科でチェロを始められた愛子さまとのご共演も