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万が一の大病にお金でどう備える? 保険なら がん診断で一時金300万円受け取れる商品も その使い道は自由

封筒に入った万札
病気になる前に備えておきたいお金のこと(Ph/photoAC)
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寿命が延びれば延びるほど、病気のリスクも増していく──。「ある日、突然」やってくるそのときのために知っておくべきことがある。いまや2人に1人が罹患するがん、骨粗しょう症や甲状腺障害、子宮筋腫など女性特有の疾患など、病気と対峙するための備えについて考えよう。

貯金か投資か備えておくべき病気のお金はこうつくる

もちろん、突然病気になったとしても、充分な貯蓄があれば心配はない。だが実際にいくらあれば本当に安心できるのか、明確な基準はない。

同じ部位のがんで同じステージだったとしても、手術後3日で仕事に戻ることができる人もいれば、治療によって体調やメンタルの調子を崩してさらに数か月の休みが必要なこともあり、社会復帰できるまでの時間には大きな個人差がある。

「たとえ貯蓄が500万円あったとしても、治療で使い切ってしまったり、通院や薬代で治療後もお金が必要になる可能性もあります」(ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さん・以下同)

また、治療を経て社会復帰してからも出費は続く。会社員なら企業の健康保険から傷病手当金が支給されるが充分とはいえない。

「それまでの給与の3分の2程度になるため、治療にお金がかかることを考えればやはり生活は苦しくなる。予後の状態を予見することは難しく、人によっては生活が成り立たなくなる恐れもあります」

車いすに乗った女性
病気が治っても、すぐ社会復帰できるとは限らない
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「まとまったお金の安心感」

がんになれば治療費の総額は数百万円単位となり、日々の家計を圧迫することは免れない。病気に備え、これだけの金額を「治療のために使い切ってもいいお金」として備えておくにはどうすればいいのか。なかには一大ブームとなっている投資でお金を増やして備えることを考える人もいるだろう。

「例えば、353万円(がんステージⅠ・Ⅱの場合の自己負担額の平均総額、2022年生命保険文化センター調べ)を5年で用意する場合、新NISAで年利3%の運用ができれば、毎月5万4469円、10年なら月2万5198円積み立てれば達成できます。同様に、467万円(がんステージⅢ・Ⅳの自己負担額の平均総額、2022年生命保険文化センター調べ)を新NISAでつくるなら、5年の場合は月7万2059円、10年なら3万3336円積み立てる計算になります。

しかし投資である以上、毎年必ず3%の利率で増え続ける保証はどこにもありませんし、必要な医療費が増やした金額を超える可能性はゼロではありません」(松浦さん)

うまく増えないどころか、株価次第ではマイナスになる可能性もあるうえ、がんに備えて運用している間に発症してしまうリスクも充分に考えられる。

このように、病気のリスクには貯蓄や投資では不安がぬぐい切れないのが現実だ。そこで「病気になったとき、まとまったお金が手元にある」ために効果的なものとしてファイナンシャルプランナーの牧野寿和さんが挙げるのが保険による備えだ。

「貯蓄や投資が時間をかけて増えていく“三角形”なのに対し、必要になったらすぐに保険金が受け取れる保険は“四角形”と、よくいわれます。

貯蓄や投資と保険のお金の動きを示した図
貯蓄や投資は“三角形”、保険は“四角形”
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保険には、“がんになったら一括で300万円”など、診断確定した時点でまとまったお金を『一時金』として受け取れるものがある。治療費や入院費はもちろん、それ以外のお金や収入減をカバーするにも使いやすいのです」(牧野さん)

日帰り手術で30万円、検査だけでも1万円

保険で備えておく場合、例えばがん・急性心筋梗塞・脳卒中の3大疾病を保障する保険では、商品によっては上記所定の疾病と診断確定されたら、一時金または年金として300万円がおりる。

一時金の給付のタイミングを表にしたもの
一時金の給付を受け取る期間のイメージ
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また、近年は入院が短期化している傾向にあるが、医療保険の中には、日帰り入院でも30万円の入院給付金を一時金として受け取れるものもある。給付金は30日ごとに1回、最大では90日間の入院で120万円を受け取ることができるほか、外来手術では入院給付金の10%の外来手術給付金を受け取れるなど、費用をバックアップしてくれるのだ。

一般的に医療保険やがん保険は、一度がんになると再発の可能性があることから、再加入や継続加入は難しい場合が多い。だが商品によっては、治療後の状態次第でより条件が少ない緩和型商品に加入し直して備えることもできるようになっている。

保険でもらえるお金の図
もしもの備えとなる保険
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また、がん検診で要精密検査となって検査を受けたときや、定期的な検診で給付金がおりるものもある。

「がん検診に行かないのは“何か見つかったらどうしよう”という恐怖心が理由の1つでしょう。保険に加入していることで“万が一、がんが見つかっても大丈夫”という心理が働いてためらわずに検診に行けるようになり、早期発見・早期治療ができ、結果的に治療費を抑えることにもつながります」(大竹さん)

診断を受ける女性のイラスト
定期的な検診で給付金がおりる保険も(イラスト/アライヨウコ)
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一時金をどう使うかはすべて患者の自由

一時金などの使い道は自由。治療費の実費としてはもちろん、差額ベッド代や自由診療の費用のほか、通院費用や家族のために使ってもいい。

「乳房切除や抜け毛など女性の場合、治療や薬による外見への影響も心理状態を大きく左右する。乳房再建費用や質の高いウィッグなどに使えるお金があることは予後のQOL(生活の質)を高めることにつながります。極端な話、高齢で治療に耐えられなかったり、がんの進行が遅く治療を急がない場合は、旅行や外食など闘病生活のストレスを和らげるのに使ってもいいでしょう」(松浦さん)

一時給付金を受け取る女性のイメージイラスト
一時金の使い道は患者の自由(イラスト/アライヨウコ)
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がん保険や医療保険の給付金はすべて非課税なので、まるまる自分のものになる。治療や入院、家族のため以外にも、自分にとって有効な使い方をしてほしい。

取材/小山内麗香

※女性セブン2024年8月22・29日号